自衛隊のチェック機能不十分 改正防衛省設置法成立 - 東京新聞(2015年6月10日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015061090140610.html
http://megalodon.jp/2015-0611-0949-21/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015061090140610.html

<解説> 政府は改正防衛省設置法について「政治家による自衛隊の統制に一切変わりはない」と繰り返し主張してきた。しかし、戦前に軍部が暴走した反省から定められた、政治家と文官が自衛隊を二重にチェックする文民統制の仕組みについて、弱体化させる恐れは否定できない。
野党側は国会審議で「文官統制」の必要性を認めた過去の内閣の答弁を引用して法改正は先の大戦の反省に基づく文民統制を大きく変質させる取り組みだと批判した。
中谷元・防衛相は文官と自衛官の立場を対等にすることで「(文官による)政策的な見地からの大臣補佐と(自衛官による)軍事専門的な見地からの大臣補佐を明確化できる」と反論するだけで、議論は深まらなかった。
現在、安全保障関連法案が国会で審議されている。自衛隊の海外での武力行使に加え、地球規模で米軍など他国軍を支援することを可能にする内容。戦後日本が守り続けてきた専守防衛政策の転換につながるため、自衛隊の活動内容をどう限定するか国会で審議されている最中、政府は自ら自衛隊に対するチェック機能を弱めてしまう。 (中根政人)