咲く桜、散る桜 散り際の美学すり替え-東京新聞(2015年1月6日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/Postwar70th/sengonotisou/CK2015010602000207.html
http://megalodon.jp/2015-0112-1050-11/www.tokyo-np.co.jp/article/feature/Postwar70th/sengonotisou/CK2015010602000207.html

古くから満開の姿が日本人を魅了した桜は、戦時下「ぱっと散る」美学にすり替えられた。戦争を知る人々は、桜を通じて「美化」の危うさも胸に刻んでいる。 (木原育子)
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愛国心への融合
桜と軍国主義の関係を考察した「ねじ曲げられた桜」(岩波書店)の著者、米国ウィスコンシン大の大貫恵美子教授(象徴人類学)は「花は、生きることのシンボルにも死ぬことのシンボルにもなりうる。どちらに重きをおくか、気づかれずに変えることにも成功しやすい」と指摘する。

花見の研究を深めるうち、自然の美しさを愛国心に融合していった戦時に関心が向いたという。「美化というのは恐ろしい。人は情緒的なものには抵抗しにくい。だれがどういう目的で美化しているか注意しないといけない」

花見は今も春を告げる風物詩だが、その木を美しいと思ったことを悔やむ人も同じ日本にいる。それもまた、戦争の一片だった。

ねじ曲げられた桜 美意識と軍国主義 (岩波オンデマンドブックス)

ねじ曲げられた桜 美意識と軍国主義 (岩波オンデマンドブックス)