教研集会での学校使用 大阪市の不許可違法-東京新聞(2014年11月26日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014112602000253.html
http://megalodon.jp/2014-1127-0947-57/www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014112602000253.html

労働組合への便宜供与を禁じる大阪市の条例に基づき、教育研究集会に小学校を使わせなかった処分は違法として、市教職員組合(市教組)が無効確認と約六百万円の損害賠償を市に求めた訴訟の判決で、大阪地裁は二十六日、条例の適用は違憲とし、約四十一万七千円を支払うよう市に命じた。

中垣内(なかがいと)健治裁判長は判決理由で、条例について「橋下徹市長に憲法が保障した労働者の団結権を侵害する意図があった。不許可を適法化するため適用される限りは、憲法に違反し無効だ」と指摘。「校長の不許可処分は裁量権を逸脱、乱用し違法だ」と述べた。

労使関係条例は、橋下市長が主導して成立、二〇一二年八月から施行された。条例に基づき、市が庁舎内の職員労働組合を退去させた処分をめぐっては今年九月、大阪地裁が違法と判断。市が控訴している。この判決でも、条例について今回の判決と同様の言及があった。

無効確認請求については「集会の開催日はすでに過ぎ、訴えの利益がない」として却下した。

市側は「組合活動である集会が許されないのは明らかだ」と主張していたが、判決は集会の自主的な研修という性格を重視。「これまで支障が生じたこともなく、市教組と市の関係が不適正だったとの証拠もない」とし、「学校の使用は相当で、校長は憲法を尊重し慎重な検討をすべきだった」と注意義務違反を認めた。

判決によると、市教組は一二年九月、大阪市の公立小学校を会場として、集会を計画。校長に許可を申請したが、一二年八月の「組合への便宜供与は行わない」とする条例の第一二条だけを理由に不許可となり、一三年にも同様の処分がされた。

集会は、教職員が実践する教育内容を報告し討議する場で、約四十年前から年に一回開催。例年、許可を得て学校を使用してきた。

市教組側は、条例は「組合活動を保障する憲法に反している」と訴えていた。

◆「対応検討する」
大阪市教育委員会の山本晋次教育長の話 判決内容を慎重に精査し、今後の対応を検討したい。

大阪市労使関係条例> 労使交渉の対象となる範囲などを定めた条例。「適正で健全な労使関係を確保し、市政への信頼を確保することを目的」として、橋下徹市長が主導して制定した。2012年7月議会で成立、8月施行された。組合活動に関する便宜供与は行わないと定め、労組との交渉事項を給与や懲戒処分、福利厚生など6項目に限定。職員の定数や配置、職務命令、予算編成などは交渉の対象から外すと明記した。