遠隔操作ウィルス事件続報検察の起訴に勝算はあるのか -ビデオニュースドットコム(2013年03月23日)


http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002711.php

遠隔操作ウイルス事件で逮捕された片山祐輔容疑者が22日、ハイジャック防止法違反などの罪で起訴された。起訴に際して検察は片山氏の勤務先のパソコンにウイルスを作ったとみられる痕跡が残されていたことが新たに分かったなどの情報を盛んにリークすることで、起訴は十分に根拠のあるものであることを訴えようとしているようだ。

ことを受けて記者会見した片山氏の弁護人の佐藤博史弁護士らは「検察は有罪立証ができると考えているようだが、片山氏が真犯人であるとの確信は持てていないはずだ」と、今回の起訴についてもその不当性を強く訴えている。

佐藤弁護士は、片山氏が取り調べの録音録画を求め、警察や検察がそれに応じていないため、これまで検察は片山氏とは1度しか話すことができていない。その時の話の内容も江ノ島の猫の話など「通り一遍のもの」で、それだけで片山氏が真犯人であるとの確信を持つことは到底あり得ないと言う。

つまり、検察は勾留している片山氏自身に対する取り調べではなく、状況証拠、とりわけ片山氏の勤務先のパソコンやFBIからの情報提供で遠隔操作ウイルスが見つかったとされるインターネット上のドロップボックスのサーバーから入手した情報のみで片山氏を起訴している可能性が高い。

日本の刑事司法の自白偏重主義は批判を受けていて、より物証や客観的な証拠の積み上げによる捜査に移行すべきだとの意見が根強い。果たして今回の片山氏起訴の根拠となった証拠は、「物証や客観的な証拠」と呼べるものなのか。パソコンの遠隔操作という事件の特殊性を考えた時、勤務先のパソコンやサーバーに残されていた情報だけを元に逮捕・起訴をすることにリスクはないのか。ジャーナリストの神保哲生社会学者の宮台真司が議論した。