「答弁差し控える」説明避ける麻生氏 森友文書問題 - 朝日新聞(2018年3月2日)

https://www.asahi.com/articles/ASL3235NBL32UTIL005.html
http://archive.today/2018.03.02-034859/https://www.asahi.com/articles/ASL3235NBL32UTIL005.html

学校法人・森友学園大阪市)との国有地取引の経緯を記した財務省の文書の内容が、契約当時とその後で違っていると朝日新聞が報道したことについて、麻生太郎財務相は2日の参院予算委員会で、大阪地検の捜査に影響を与えるおそれがあるとして、「答弁を差し控えねばならない」と述べた。野党が開いた会合で、財務省の担当者は「現段階では捜査に協力する。財務省として調査はしない」とした。
朝日新聞は2日付の朝刊で、財務省近畿財務局が契約当時に局内の決裁を受けるために作った文書の内容が、昨年2月の国有地売却問題の発覚後に国会議員らに開示した決裁文書の内容と違っている、と報じた。契約時の文書にあった学園との取引についての「特例」との文言が、開示された文書ではなくなるなどしていた。文書は問題の発覚後に書き換えられた疑いがあることも指摘した。
この報道について、予算委で自民議員から発言を求められた麻生氏は、「大阪地検において背任のほか、公用文書等毀棄(きき)で告発を受けて捜査が行われている」と説明。「お答えすることが捜査にどのような影響を与えるかということについては予測しがたいため、今のところは答弁は差し控えなければならないものだと思う」と話した。
また、菅義偉官房長官は、同日午前の記者会見で「財務相が述べた通り。それ以上でもそれ以下でもない」とだけ述べた。
一方、民進党希望の党はこの日午前、報道を受けて会合を開き、財務省会計検査院の担当者に説明を求めた。出席議員から「書き換えられたのではないか」などと追及を受けた財務省の富山一成・理財局次長は、地検の捜査が続いていることを理由に、「コメントは差し控える」と繰り返した。
野党議員は、「財務省が吹っ飛ぶ話だ」などと批判した。1〜2月に公表した土地取引に関連する法律相談文書には財務省が答弁していることを引き合いに、「なぜ今回の文書だけ『捜査中』を理由に答弁しないのか」と迫ったが、「予算委員会で大臣が答弁したとおり」などと答えた。

森友文書、財務省が書き換えか 「特例」など文言消える - 朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASL317533L31UTIL060.html
http://archive.today/2018.03.02-064548/https://www.asahi.com/articles/ASL317533L31UTIL060.html

学校法人・森友学園大阪市)との国有地取引の際に財務省が作成した決裁文書について、契約当時の文書の内容と、昨年2月の問題発覚後に国会議員らに開示した文書の内容に違いがあることがわかった。学園側との交渉についての記載や、「特例」などの文言が複数箇所でなくなったり、変わったりしている。複数の関係者によると、問題発覚後に書き換えられた疑いがあるという。
内容が変わっているのは、2015〜16年に学園と土地取引した際、同省近畿財務局の管財部門が局内の決裁を受けるために作った文書。1枚目に決裁の完了日や局幹部の決裁印が押され、2枚目以降に交渉経緯や取引の内容などが記されている。
朝日新聞は文書を確認。契約当時の文書と、国会議員らに開示した文書は起案日、決裁完了日、番号が同じで、ともに決裁印が押されている。契約当時の文書には学園とどのようなやり取りをしてきたのかを時系列で書いた部分や、学園の要請にどう対応したかを記述した部分があるが、開示文書ではそれらが項目ごとなくなったり、一部消えたりしている。

(政界地獄耳)国会で働き損ねた?安倍首相 - 日刊スポーツ(2018年3月2日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201803020000176.html
http://archive.today/2018.03.02-041506/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201803020000176.html

★2月28日夜、首相・安倍晋三は「裁量労働制のデータについて国民が疑念を抱く結果になっている。働き方改革関連法案から裁量労働制を全面削除するよう指示した」と野党の追及に白旗を掲げた。働き方改革関連法案から分離し、裁量労働制以外の法案成立を目指す。ずさんで怪しげな厚労省からのデータは精査のレベルを超え連日異常値が増え続けるありさまで、法案とデータを分けて考えるという首相の答弁ではごまかしきれない域に達していたといってよい。
働き方改革関連法案は過労死などを撲滅するための改革に見えるものの一括審議が続いており「同一労働同一賃金」、年収の高い専門職を労働時間規制から外す高度プロフェッショナル制度などは法案に残っている。また月100時間未満、どの2〜6カ月においても月平均80時間以内という「過労死ライン」の上限設定などに昨年「連合」も同意している。当時の連合事務局長・逢見直人は「長時間労働の是正については、3月13日の労使合意に基づき、罰則付き時間外労働規制の導入という労基法70年の歴史の中での大改革に至った」と自画自賛しているが、逆に月100時間までは残業可能と「連合」が固めたといえる。
★その意味では働き方について我が国には労働基準法を軸に労働契約法、労働安全衛生法男女雇用機会均等法、パートタイム労働法、育児介護休業法、最低賃金法、労働組合法、職業安定法、労働者派遣法、雇用保険法など多岐にわたる。労働関係の各法や法令はもっとある。それでも働き方が守られないのは、労働関係法を軽んじている現状と労使関係が雇用側に有利な片務的条件が多いからだ。今国会は「働き方改革国会」と銘打った首相だが、働き損ねたか。(K)※敬称略

裁量労働制 断念で幕引きとするな - 東京新聞(2018年3月2日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018030202000180.html
https://megalodon.jp/2018-0302-1254-28/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018030202000180.html

安倍晋三首相は、働き方改革関連法案から裁量労働制の対象業務を拡大する改正案を削除することを表明した。問題のある制度改正だ。当然である。だが、これで幕引きを図れるものではない。
「国民に疑念を抱かせた」
首相は、裁量労働制部分の法案からの削除についてこう述べた。今国会への提出も断念する。発言はその通りである。しかし、疑念は一向に解消していない。
一般の労働者よりこの制度で働く人の労働時間が短いとの不適切な比較データをなぜ厚生労働省が作成したのか。どんな意図で誰の指示があったのか。この制度による働き方についてどう考えているのか。政府は、この疑問に依然として十分に答えていない。
首相は国会で「きっちり実態把握をしない限り、政府全体として前に進めない」と制度に対する新たな調査を行う意向を示した。ならば、政府内でのデータ作成の経緯も調査し公表すべきだ。
対象業務の拡大は経済界が求めており、官邸主導で議論が進められた。政策の方向を決めてから厚労省労働政策審議会に諮られた経緯がある。労政審には今回問題となった比較データが提供されたわけではない。逆に議論に必要な情報が十分に提供されていたのか疑問も残る。
裁量労働制は、あらかじめ労使で労働時間と賃金を決める働き方だ。ブラック企業が悪用し長く働かせるケースが問題化している。国会ではこうした問題点や対策の議論こそ求められている。
政府は、労働時間規制から外す働き方で「残業代ゼロで働かせ放題になる」と批判のある高度プロフェッショナル制度高プロ)の創設は法案に盛り込む方針だ。首相は一日の国会で「柔軟な働き方を可能とし、生産性の向上につながっていく」と意義を強調した。
だが、労働者自身に働き方を決められる裁量がほとんどないのが実態ではないか。長時間労働が助長され過労死が増えると批判される点では、裁量労働制と同じだ。高プロ創設も法案から切り離し再考する必要がある。
関連法案は、多岐にわたる制度変更を盛り込んだ八本の法案を一本に束ねる。個々に議論を重ねるべき重要な制度が多い中で、一括して法案を通そうとする安倍政権の姿勢は乱暴にすぎる。
働き方は多くの人の生活に影響する。しかも二つの制度は働く人の命と健康に深くかかわる。政府はその重みをかみしめるべきだ。

<金口木舌>「酒は買えないのに、銃は買える?」 - 琉球新報(2018年3月2日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-674795.html
http://archive.today/2018.03.02-035557/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-674795.html

「19歳は酒を買えないのに、なぜ、半自動小銃は買えるのか」「銃ではなく、子どもたちを守れ」「安全な学校で勉強したい」

フロリダ州の高校で起きた銃乱射事件を受け、生徒たちが銃規制を求めて立ち上がった。銃所持の権利を推進する圧力団体・全米ライフル協会(NRA)の献金を受ける政治家たちに「恥を知れ!」と訴え、「Never Again(二度と起こさない)」を合言葉にSNSで草の根運動を広げる。各地で行う演説やデモはパワフルだ
▼一方のNRAトップは「悲劇の政治利用」と批判。トランプ大統領が検討を表明したのは、銃購入可能な年齢の引き上げと、教職員を武装させる案だ。生徒らを「雇われた役者」とするデマがウェブ上で拡散した。悲しいことだ
▼乱射事件のたびに銃規制の論議を巻き起こしながらも、実質的な対策を打ち出せず、悲劇を繰り返してきた米国。だが、若者たちの強い決意と行動が大きな転換点になるかもしれない
▼航空会社や銀行、レンタカー会社はNRA会員割引などの廃止を打ち出した。ファッションブランドのグッチや俳優のジョージ・クルーニーさんらは生徒らの活動に寄付を申し出た。全米で共感、支援が広がっている
▼教室を飛び出して行動する未来の有権者たち。政治に対し、何をやっても変わらないという風潮を改めなければならないのは、大人の方だ。

<守りたい 発達障害女児の支援> (下)体動かし世界広げる - 東京新聞(2018年3月2日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201803/CK2018030202000196.html
https://megalodon.jp/2018-0302-1253-43/www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201803/CK2018030202000196.html

ピンと両手を広げ、脚を前に高く振り上げながら歩く。横向きに歩いたり鏡の前でつま先立ちをしたり。これはバレエ教室ではなく、名古屋市昭和区発達障害児向け放課後等デイサービス「Luce(ルーチェ)」が実施する発達障害の療育プログラムの一コマ。女児たちは皆、バレリーナ気分で澄まし顔だ。
一般に人は自分の体の向きや体勢を意識しなくても把握できる。だから、目をつむっていても頭をかいたり足を触ったりできる。しかし、この感覚が発達しきっておらず、誰かに触れられても、どこを触られているのか分からない子もいる。その感覚を養うためバレエやヒップホップダンスを療育に取り入れている。
動きを分解した写真をカードにし、曲に合わせてどのポーズをどんな順番でするのか繰り返し見せる。周りの空間を把握するのも苦手で、踊りながら全員で円を描いたり、向きを変えたりすることが難しい子も多い。しかし、時間をかけるとイメージがつかめ「どうすれば踊れるようになるか」を考えるようになったり、仲間を意識して動いたりできるようになっていく。
発達障害があると、自分からは運動せず閉じこもりがちになる子も多い。幼いうちから体を動かすことを習慣付け「障害をもつ子どもたちの世界を広げてあげたい」との思いも、プログラムには込められている。愛知県心身障害者コロニー中央病院(同県春日井市)の作業療法士でルーチェを支援している小松則登(のりと)さん(50)は「自分の体がどのように動くか分かるようになると、心も元気になる。バレエやダンスは、コミュニケーションなどを学ぶ上でも役に立つ」と、効果を説明する。
愛知県内の小学四年の女児(10)は一年生からルーチェに通う。物事に対するエネルギー配分が苦手で、何事も全力でやるため疲れやすい。疲れてくると気持ちの切り替えができずイライラしてしまう。
「レッスンを休憩したいときは自分で言う」。それができるようになるまでに何年もかかった。かんしゃくを起こすと、人をたたいたり物を投げたり。それでも根気よく「言葉で伝えなさい」と教えてきた。
一年ほど前から、「休憩したい」と自分で言えるようになってきた。一人になれる部屋にタイマーを持って入り、落ち着くのに何分必要か、自分で決めてセットする。タイマーが鳴ったら気持ちを切り替え、レッスンに戻る。切り替わらなかったらタイマーを延長する。それを繰り返すことで自分を落ち着かせるすべを身に付けつつある。イライラの原因を自分から話し、「すぐキレる私はいやだ」と言うようにもなってきた。
変化は、小学校でも見られる。普通学級に通うが、低学年のころは気に入らないことがあると教室を飛び出した。気持ちの表現の仕方が分からないもどかしさゆえの行動だが、叱られるばかりでどうしたら良いのか分からず、パニックになった。
今は学校でも「五分だけ」などと申告し、静かなところで気持ちを落ち着かせることができている。周囲も「怠けているのではなく、そういうことが必要な子」と理解し始めた。ルーチェの施設長藤原美保さん(48)は「発達障害児は、特性を社会に“困り感があって、はみ出した子”と評価された子どもたち。何を困っているのか、社会全体で目を向けてほしい」と話す。
ルーチェとは、イタリア語で光の意味。「目が悪い子が眼鏡をかけるのと同じで、発達障害の子も、療育のやり方と周りの環境次第で輝ける」 (花井康子)

大学VS教授 解雇巡る法廷バトル次々 学長権限強まり - 朝日新聞(2018年3月2日)

https://digital.asahi.com/articles/ASL2G56J9L2GOIPE01B.html
http://archive.today/2018.03.02-035348/https://www.asahi.com/articles/ASL2G56J9L2GOIPE01B.html

私立大学の教授らが解雇を巡り、大学側と訴訟などで対立するケースが相次いでいる。教職員組合によると、2014年に学長権限を強めた改正学校教育法が成立した後に目立つようになったという。
名古屋芸術大(愛知県北名古屋市)を懲戒解雇された元教授2人は17年12月、解雇無効などを求めて提訴した。元教授は大学を運営する学校法人名古屋自由学院の教職員組合の正副委員長だ。
訴状によると、元教授は17年10月、教職員用メールボックスに組合ニュースを投函(とうかん)したところ、就業時間内に組合活動をしたなどとして処分されたと主張している。元教授は「組合活動などを理由に解雇されたのは不当。大学内での自由な言論、表現活動、妥当な協議が非常に困難になっていることの象徴だ」と訴える。2月19日に第1回口頭弁論があり、学院側は請求棄却を求めた。取材に対しては、「訴訟継続中のためコメントできない」と文書で回答した。
全国162の私立大の教職員組合が加盟する日本私立大学教職員組合連合によると、17年は少なくとも北海道や千葉県など計15大学で教職員の解雇をめぐる訴訟や不当労働行為の救済申し立てなどがあった。私大教連の担当者は「改正学校教育法が成立してから増えた」と話す。
法改正は、グローバル競争力の強化など大学改革を進めやすくすることを目的に学長の権限を強めるのが狙い。14年8月には、文部科学省が「学長のリーダーシップの下で、戦略的に大学を運営できるガバナンス体制を構築することが重要」と全国の大学に通知した。
私立大では、私立学校法で最終的な意思決定機関とされる理事会の権限が強まった。学長選の廃止や、教授会の審議なしでカリキュラムや学部を再編する動きが広がっている。
こうした中、運営をめぐって、大学側と教員側の対立が目立つようになった。
追手門学院大(大阪府茨木市)は、改正学校教育法の成立前から改革を進めてきた。13年に教授会規程を改定し、審議事項から教員人事や重要事項を除外。学長は理事会選任とし、教職員による投票を廃止した。
こうした動きに対し、「大学の民主的な運営を阻害する」と、教授会などで批判してきた元教授2人が、15年10月に懲戒解雇された。卒業生が在学中に所属した部の顧問からセクハラを受けたとして11年に起こした訴訟を、元教授が企てたというのが処分理由だという。懲戒処分説明書には「学院を被告とする訴訟の提起を教唆し、あえて記者会見を画策し、学院の名誉及び信用を毀損(きそん)した」と記されている。
元教授は追手門学院大を運営する学校法人に、解雇無効などを求めて係争中だ。元教授は「解雇の真の理由は、大学の自主性、自立性を守り、大学の民主的運営に力を尽くそうとする原告らが目障りで排除しようとした」と主張する。
大学側は取材に対し、「ガバナンス改革の目的は教育力の向上にある。すべては学生のため」と反論。処分については、「係争中の案件で主張は裁判で明らかにしていく」とした。
中京大名古屋市)を解雇された元教授も解雇無効などを求めて16年12月に提訴した。訴状によると、元教授は15年ごろ、理事会から内密に学部改組への協力と学部長辞退を求められたという。「拒否したら過失をさかのぼって処分された」と主張。15年に学生の個人情報が入った私物のパソコンを紛失したことなどをとがめられたとした。
取材に対し、中京大広報部は「係争中なので回答を控えさせていただきたい」とコメントした。(小若理恵)

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姉崎洋一・北海道大名誉教授(教育法・高等継続教育論)の話 こうした問題は、国の大学改革と連動した新しい事態といえる。国立大は学長、私立大は学校法人の理事会の権限がそれぞれ強まった。コーポレートガバナンス企業統治)の考え方が持ち込まれ、教授会の権限を縮小し、トップの判断を最優先する法改正の弊害が直接的に表れた事例だ。企業と同じ経営手法の適用には無理があり、学問の自由を保障された大学が死んでしまう。労働組合の活動を制限し、組合ニュースのポスティングなど微々たることで懲戒解雇するのは、不当労働行為に当たる。