(政界地獄耳)「原発ゼロ」立憲民主党の手腕問われる - 日刊スポーツ(2018年1月12日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201801120000243.html
http://archive.is/2018.01.12-012732/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201801120000243.html

★元首相・小泉純一郎細川護熙が顧問を務める原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連)は今月10日、国会で脱原発に向けた「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」の骨子を発表した。小泉は「原発ゼロはハードルが高いと思うかもしれないが高くない」と前置きした上で、「官邸が政策を変えれば」と期待していた。しかし、らちが明かず、「野党が国会で議論を始めれば国民が目覚める。国民の声が変われば自民党は変わる」と、野党を含めた全方位外交に戦略転換したようだ。
★一方、立憲民主党は先に原発ゼロ法案策定を打ち出したため、同日、第2回の党エネルギー調査会を開き、原発ゼロ基本法発表後の原自連と対話集会を国会内で開いた。立憲は「原発ゼロ政策を進める論点整理」をまとめて原自連に説明し、大筋合意を得た。議論は既にイデオロギーやスローガンのレベルをはるかに超え、極めてリアリティーのある、そして自然エネルギーへの移行は環境への配慮や効果だけでなく、経済性にも優れているとしている。
★また、原発ゼロに対して電力会社の位置づけや役割に触れ、法整備に当たり法制局は「原発は電力会社の自発的な経済活動で、それを妨げていいのか」とけん制する。しかしドイツでの同様な議論や司法判断では「電力会社の行った設備投資分に関して、国が保証して支払えばいい」とし、原発投資分や廃炉資金を国が担保したりすればいいと明快。また、1年以内に廃炉を決めれば国の予算で処理するが、廃炉の決定が遅れるごとに、電力会社の負担が増える仕組みにして加速させるなど、アイデアも飛び出した。
★安倍政権は日立製作所が英国に建設予定の原発について積極的で、銀行が日立に融資する2兆円程度の資金を全額補償する方向で検討している。そう考えれば、政策転換に対しても国が費用を出すことは、エネルギー安全保障上も理にかなう。立憲が国民的議論を引き起こせるか。手腕が問われる。(K)※敬称略

日立の英原発事業、日英政府が支援 損失なら国民負担も - 朝日新聞(2018年1月11日)

https://www.asahi.com/articles/ASL1B5D5FL1BULFA015.html
http://archive.is/2018.01.11-000150/https://www.asahi.com/articles/ASL1B5D5FL1BULFA015.html


日立製作所が英国で進める原発事業をめぐり、日英両政府が官民で総額約3兆円を投融資する資金枠組みについて大筋で合意したことが分かった。出資額4500億円のうち、日立の出資は3分の1にとどめ、日英で折半する融資額2兆2千億円の日本分には政府保証をつけるなど、異例の手厚い政府支援で原発事業のリスクを肩代わりする。ただ、事業で損失が出れば国民負担につながりかねない。
複数の関係者によると、両国政府は昨年末、今回の枠組みについて書簡を交わして確認した。対象となるのは日立が英西部アングルシー島で計画する原発2基の事業で、2020年代半ばの運転開始をめざす。
日立は12年、英国の原子力事業会社ホライズン社をドイツの電力会社から約900億円で買収したが、今回の枠組みはこのホライズン社の事業への投融資が柱だ。出資額は日立と日立以外の日本側、英国側の3者が1500億円ずつで、日本側の出資は政府系の日本政策投資銀行や大手電力会社などが想定されている。

「40年経過を前に一部廃炉を」 柏崎市長、原発再稼働条件 - 新潟日報モア(2018年1月11日)

http://www.niigata-nippo.co.jp/news/politics/20180111367448.html
http://archive.is/2018.01.11-092957/http://www.niigata-nippo.co.jp/news/politics/20180111367448.html

柏崎市桜井雅浩市長は10日の定例会見で、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働を認める条件に、1〜5号機の一部廃炉を求めていることについて「運転開始から(国が運転を認める)40年より前の廃炉を求める認識でいる」と述べた。40年経過を前に、一部を廃炉にしなければ再稼働を認めないとの考えを示した。
原子炉等規制法は、原発の運転期間を原則40年と定め、原子力規制委員会が認めれば最長20年延長できる。同原発1〜5号機は、2025年〜34年に順次40年を迎える。
これまでも延長を認めないとしてきた桜井市長は同日の会見でも「国が定めた40年が基本」とし、最低限でも40年で廃炉とするよう要求。さらに一部原発は運転開始から40年経過する前に廃炉とすることを求めた。
桜井市長は東電に対し、集中立地のリスク軽減などから、19年6月までに、1〜5号機の廃炉計画を策定するよう要請している。市長は「年限が示されなければ計画とは言えない」と述べ、廃炉時期の明記は不可欠とした。
東電の小早川智明社長は9日の桜井市長との会談で、柏崎刈羽原発廃炉計画の策定を求めた市長に対し、「市長が求める電源構成の検討は、社内でしっかり行っている」と返すにとどまった。「廃炉」という言葉は使わず、計画を策定するかどうかも明言を避けた。
桜井市長は10日の会見で「社長とは何度も話し、文書も渡している。私の廃炉計画の考えは東電に届いていると思う」と述べた。

最高裁長官 司法の責務改めて胸に - 朝日新聞(2018年1月12日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13309168.html
http://archive.is/2018.01.11-212506/https://www.asahi.com/articles/DA3S13309168.html

最高裁の長官に大谷直人氏が就任し、これからの司法のかじ取りに当たることになった。
近年「多数こそ正義」の風潮がはびこり、政治の世界でも、選挙に勝ったのだから何でも許されるとばかりに、抑制と均衡を欠く振る舞いがまかり通る。
政治改革のひとつの帰結として立法と行政の一体化が進むなか、両者を監視し、真の「法の支配」を貫くために司法が果たすべき使命はいよいよ重い。
憲法の原則に忠実に、弱者や少数者の権利を守り、多様な価値観が並び立つ社会を築く。
重要な憲法判断を行う大法廷の裁判長を務める長官はもとより、司法の権能を担うすべての人に、あらためて自らの責務を胸に刻んでほしい。
個別事件の審理とあわせ、長官に課せられた仕事は、司法を使いやすく、頼りがいのあるものにするための環境の整備だ。
直面する大きな課題に成年後見制度の円滑な運用がある。
お年寄りなど判断能力が衰えた人の財産管理や契約行為を、社会で支えるニーズは年々高まっている。だが、後見人をつけるか否かを決定し、不正がないように監督する家裁には、想定外の細かな相談も持ち込まれ、手いっぱいの状態だ。
政府は昨年、地域で支援が必要な人を「発見」し見守るネットワークを、全国に展開する計画を打ち出した。自治体に加えて、法律、医療、福祉、金融の専門機関やNPOと認識を共有し、連携の実をあげるには、当面、実情に通じた家裁が中核になって動くしかない。
人材を手厚く配置するなど裁判所総体でとり組み、人々の権利の擁護に努めてもらいたい。
IT(情報技術)を活用し、民事裁判の書面の電子化や審理の効率化を図るのも、急ぐべきテーマだ。経済界などの要請を受けて内閣官房が音頭をとっているが、ITを使いこなせない人が不利益を被るようなことがあってはならない。ここでも、現場をあずかる裁判所の知恵と工夫が求められる。
裁判員制度は間もなく実施から10年目に入る。
法律家による証拠や主張の事前整理に時間がかかって初公判の期日がずれ込むなど、改善すべき点はなお多い。検察、弁護の責任も大きい。生き生きとした審理を通して、国民の良識を裁判に反映させるという当初の理念を、法曹界全体でいま一度思い起こす必要がある。
一つ一つの地道な営みを通じて司法の基盤を厚くする。そのことが、人権のとりでとして市民の負託に応える道に通じる。

大谷最高裁判所長官の就任談話 - 裁判所(2018年1月9日)
http://www.courts.go.jp/about/topics/syuunindanwah3001/index.html

大谷最高裁判所長官の就任談話

平成30年1月9日

談 話

最高裁判所長官 大谷直人

この度,最高裁判所長官に任命されました。
日本国憲法の施行とともに新たな裁判所制度が始まってから70年余りになります。裁判所は,これまで,個別事件の適正妥当な解決を通じて,国民の権利の擁護と法秩序の維持を図るという使命を果たすため努力を重ねてきました。
この間の道のりを振り返ると,社会経済構造の変動により,人々の利害は複雑に絡み合うようになり,価値観も多様化の歩みを早めています。科学技術,とりわけ情報通信技術の急速な発展やグローバル化の進展も加わって,裁判上の紛争には,対立が先鋭化したり,これまでにない新たな類型のものが登場するなど,社会的な関心が集まる事件も少なくありません。裁判所の果たすべき役割はますます重大になっており,質の高い審理・判断が求められているといえましょう。
平成11年に始まった司法制度改革の作業は,裁判員制度を始めとする各種制度の創設,抜本的な改正として実を結びましたが,その後も,民法改正,新時代の刑事司法制度にかかわる関連法制など,国民生活や裁判手続に大きな影響を及ぼす制度改正が続いており,それらの円滑な運用を図らなければなりません。国際社会における司法の動向にも視野を広げる必要性が増大していますし,情報通信技術を用いた裁判手続の現代化も,今後検討を急ぐべき課題と考えています。
このようなさまざまな課題を前にして,就任に当たり,改めてその職責の重大さを痛感しています。私としては,これまで築き上げられてきた司法の良き伝統を受け継ぎ,これを発展させて,身近な存在として国民からより信頼される裁判所の実現,ひいては法の支配を更に揺るぎなきものとするために全力を傾けたいと思っております。
国民の皆様におかれましても,司法に対し,一層の御理解,御協力を寄せていただけますようお願い申し上げます。

(ハリス米司令官発言)軍人の論理 住民軽視だ - 沖縄タイムズ聞(2018年1月12日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/194189
https://megalodon.jp/2018-0112-0938-41/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/194189

軍にとっての「安全」が、住民が求める「安心・安全」とは大きくかけ離れていることを改めて思い知らされた。
ハリス米太平洋軍司令官は、県内で年明けに米軍機の不時着が相次いだことに対し、「一番近い安全な場所に(機体を)降ろす措置に満足している」とパイロットをたたえた。米ハワイ州で開かれた会談で、「住民の安心のため安全な航行をお願いしたい」と要請した小野寺五典防衛相への返答だった。
機体の異常を感じながら飛行を続けるよりは、基地外であっても着陸した方が米軍機にとっては安全−という見方で、住民側の視点が全く欠けている。
米軍普天間飛行場所属のUH1多用途ヘリが6日不時着したうるま市伊計島の海岸は、民家から約50メートルと近く、前日には住民がタコや貝を捕りに出ていた。2日後、同じく普天間所属のAH1攻撃ヘリが不時着した読谷村の産業廃棄物処分場は、搬入車が行き交う場所。観光客でにぎわうホテルや、農家が通う畑も隣接する。
どちらも着陸すれば、住民が巻き込まれる危険性が高い場所だ。人身被害がなかったのは単なる偶然にすぎない。
翁長雄志知事は、今回のハリス氏の発言が、2016年名護市安部の海岸にオスプレイが墜落した際のニコルソン四軍調整官の発言と重なると断じた。集落からほど近い浅瀬で機体が大破した事故をニコルソン氏は謝るどころか、「できるだけ沖縄の人たちを守るために浅瀬に向かおうとしたことは良い判断だった」と称賛した。

■    ■

事故を過小評価する米軍関係者の見解は、復帰前から変わらない。
2004年沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落では大学校舎が燃え、周辺の住宅や車両破損の被害が出たにもかかわらず、ワスコー在日米軍司令官(当時)が「ベストな対応」と発言した。
1959年の宮森小学校への墜落は、児童ら228人が死傷したにもかかわらず、パイロットや米軍当局者は「事故は予測不能だった」とし、「(人口の多い)コザは危うく避けた」と功績をアピールした。
だが、宮森小への墜落から40年後に公開された米軍資料によると、墜落の原因はエンジンの整備不良やパイロットの技量不足によるものだった。墜落は人災であり、未然に防げたのだ。

■    ■

昨年10月、CH53大型輸送ヘリが東村高江の民間牧草地で炎上した事故は記憶に新しい。人的被害こそなかったが、牧草が数百メートル四方にわたって燃え尽きたほか、ヘリに搭載していた放射性物質漏れも問題となった。
実は牧草地には、1990年代から2度米軍ヘリが不時着していたことが後に分かった。炎上事故の前に、トラブルが続いていたのである。
発生した事故やトラブルを軽視することが、おざなりな再発防止策へとつながり、次の事故を招いていないか。日本政府は通り一辺倒の要求で済ませず、ハリス氏の発言にも強い異議を唱えるべきだ。

ハリス氏「満足」発言 不適切にも程がある - 琉球新報(2018年1月12日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-645077.html
http://archive.is/2018.01.12-004032/https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-645077.html

人的・物的被害が出なければいいという考えは、断じて容認できない。
ハリス米太平洋軍司令官は小野寺五典防衛相との会談で、米軍普天間飛行場所属機の不時着が相次いでいることに関し「一番近い安全な場所に降ろす措置に満足している」と述べた。
言語道断だ。うるま市伊計島での不時着は民家から約100メートル離れた所だった。読谷村での不時着は比謝川行政事務組合の敷地内で、大型リゾートホテルから約250メートルの距離だった。
不時着した場所はいずれも県民の生活圏である。一歩間違えば大惨事になった。たまたま被害が出なかっただけである。「安全な場所」「満足」などの言葉を口にするのは不適切にも程がある。
小野寺氏は会談後、「米軍が緊急着陸をした場所は民家に近い場所だったり、たくさん客がいるホテルの近くだったりで、広場であっても周辺にあれだけ人家があるということは、決して安全な場所ではない」と述べた。その通りである。だが、小野寺氏はハリス氏に十分伝えていない。
小野寺氏はその理由を「他にも北朝鮮その他の案件があったので、そこまで詳しくは触れなかった」とし「河野統幕長が来週、ハリス司令官とも会う。さまざまなレベルで具体的な説明をさせたい」と述べた。
防衛省トップとしてハリス氏に「安全な場所ではない」と即座に指摘すべきだ。「満足」発言にも抗議し、撤回を求めてしかるべきである。
不時着については会談の最後に話し合ったという。真っ先に取り上げなかったのは、両氏が不時着問題をさほど深刻に受け止めていないからではないのか。
この間、事故やトラブルに対する米軍の過小評価を改めさせる努力を政府が怠ってきたことや、米軍と同じ認識しか持たない大臣の存在が相次ぐ事故を招いた。
2004年の沖国大米軍ヘリ墜落事故では、在日米軍司令官が講演で、乗員の努力でけが人が出なかったとして「素晴らしい功績があった」と発言。町村信孝外相(当時)は「操縦士が上手だったこともあって重大な被害が出なかった」と発言した。大学構内への墜落という重大な事故でも、米軍の理論がまかり通るのである。
16年の名護市安部へのオスプレイ墜落事故で、在沖米軍トップのニコルソン四軍調整官は「住宅や県民に被害を与えなかったことは感謝されるべきだ」と述べ、県の抗議に不快感を示した。
この3氏とハリス氏に共通することは、県民視点の欠落と当事者意識の欠如である。
翁長雄志知事はハリス氏発言について「このような(発言をする)体質が米軍の中にある限り、県民の生命、財産は守れない」と述べた。米軍は今度こそ、この言葉の重さを真摯(しんし)に受け止めるべきだ。

<金口木舌>溜めをつくる - 琉球新報(2018年1月12日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-645078.html
http://archive.is/2018.01.12-004257/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-645078.html

以前、ある自治体の職員から聞いた言葉が印象に残っている。「生活が厳しい市民ほど、制度を理解し申請して活用すること自体、困難なことが多い」

▼困難を抱える家庭は、孤立しがちだ。彼は「自ら必要な行政サービスを申請するべき、という考えだけではうまくいかない」と言い、多様な市民と行政機関とをどうつなげるか、模索していた
▼思い出したのが「貧困とは“溜(た)め”が欠けた状態だ」という社会活動家の湯浅誠さんの指摘だ。溜めとは金銭だけでなく生活基盤、人間関係、精神的余裕などのこと。さまざまなトラブルに対するバリアーのようなものだ
▼例えば失業した場合、貯蓄がないと明日の生活費を稼ぐ必要に迫られる。仕事を紹介したり金銭を援助したりしてくれる人間関係がないと、生活の見通しが立たない。溜めがないと、悪循環の中で自己肯定感を失っていく
▼溜めが増えれば、希望を描けるようになる。湯浅さんは「構ってもらう時間」が溜めを増やすと強調する。人は、幼少期に心の中のコップの水があふれるまで構われることで、やっと安心できる状態になると例える
▼逆にその体験がない人は大人になっても、水があふれるまで構ってもらわなければ、安定した人間関係を築けないという。周囲の子や大人への丁寧な関わりが、セーフティーネットを強くするための第一歩となる。