(政界地獄耳)日本には小選挙区制度は合わない - 日刊スポーツ(2017年10月30日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201710300000154.html
http://archive.is/2017.10.30-010941/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201710300000154.html

野党共闘が崩れ、バラバラになって野党が乱立したことで自民党は漁夫の利を得たというのが、この総選挙の見立てだが、慶応大学法学部教授・小林良彰のビデオニュースドットコムでの指摘が興味深い。「自民党の絶対得票率が長期低迷傾向だ。民主党政権ができた09年の総選挙で、自民党は2730万票を得ているが、その後の選挙では自民党議席数こそ毎回過半数を大きく超えるものの、得票数は大敗した09年選挙を超えたことがない」という。
★つまり野党の地盤沈下により、より少ない得票でも自民党が勝っているだけ、というわけだ。小林は「メディアは選挙後、得票率を無視して、議席率ばかりを取り上げるが、それでは民意ははかれない」ともいう。確かに自民党の得票率は毎回5割を割り、得票数では野党が自民を上回っている。自民党の今回の得票率の48%に、全体の投票率の53・60%を掛け合わせた「絶対得票率」は約25%にとどまる。これが日本の全有権者のうち、実際に自民党に投票した人の割合だ。
★数字から見ても、選挙による民意を反映させるという意味では「日本には小選挙区制度は合わない」との小林の指摘は、現行の選挙制度に一石を投じるといえる。ただ、この制度はその欠陥を承知で、2大政党政治を生みやすくするためにあえて作られた側面も否めず、09年の選挙ではその恩恵により民主党政権が生まれている。民意を反映しない代議士の存在といえば、有権者もがっかりだが、ここで問われるのは数字のからくりよりも、2大政党政治を国民が欲していないのか、政治家が大きくまとまろうとしないのか、選挙制度に合わせた戦い方を覚えないのかのいずれかになる。勝っているうちは、自民党選挙制度をいじる気はないだろう。(K)※敬称略

与党大勝の総選挙で明らかになった本当の民意とは - ビデオニュースドットコム(2017年10月28日)
http://www.videonews.com/marugeki-talk/864/

<オスプレイ>事故率1.5倍 「安全」根拠覆る - 毎日新聞(2017年10月30日)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171030-00000007-mai-soci
http://archive.is/2017.10.29-234544/https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171030-00000007-mai-soci

海兵隊が運用する垂直離着陸輸送機オスプレイの今年8月末時点の重大事故率が、5年前の米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)配備前に日本政府が公表した事故率の約1.5倍に増え、海兵隊機全体の事故率も上回ったことが、海兵隊への取材で分かった。政府はオスプレイの事故率が海兵隊機全体より低いことを示して国内配備への理解を求めてきた経緯があり、その根拠が覆る形に改めて対応が問われそうだ。【川上珠実、前谷宏】
海兵隊機全体を上回る
海兵隊は、被害総額が200万ドル(約2億2700万円)以上や、死者が出るような飛行事故を「クラスA」の重大事故とし、10万飛行時間ごとの発生率を機体の安全性を示す指標として使用している。
海兵隊によると、オスプレイが試験開発を終えた2003年10月から今年8月末の総飛行時間は30万3207時間で、重大事故は9件。10万飛行時間当たりの事故率は2.97になり、防衛省が12年10月の普天間飛行場備前に公表した事故率1.93(同年4月時点)の約1.5倍に上った。
政府は、普天間飛行場備前オスプレイの事故率(1.93)が当時の海兵隊機全体の2.45を下回っていたことで安全性を強調していた。しかし、米会計年度末(9月末)に算出するオスプレイの事故率は上昇傾向にあり、昨年9月末時点は2.62で、海兵隊機全体の2.63に迫っていた。
その後も、沖縄県名護市沖での不時着事故(昨年12月)や豪州沖での墜落事故(今年8月)が発生。8月末時点のオスプレイの事故率(2.97)が海兵隊機全体の同時期の2.59を上回ったとみられる。9月29日にはシリアで墜落事故が起き、米会計の17年度末(9月末)はさらに上昇が予想される。
事故率の増加に対し、海兵隊の広報担当者は「軍用機に潜在的なリスクはつきものだ。高い水準の安全性を確保するため、あらゆる段階で安全措置や予防策を整えている」と説明する。
一方、防衛省の担当者は「操縦ミスなど機体以外の要因でも事故は起こり、事故率はあくまで目安の一つだ。米側には平素から安全確保への配慮を求めている」としている。
◇ミス起きやすい
国防総省国防分析研究所の元分析官でオスプレイの飛行能力の検証を担当したレックス・リボロ博士の話 オスプレイは機体構造が複雑であり、小さな操縦ミスも許さない設計になっている。オスプレイ海兵隊内で普及するに従い、比較的経験の少ない操縦士も操縦するようになってきており、人為的なミスが起こりやすい状況を作り出していると考えられる。
◇過酷な訓練要因
軍事評論家の前田哲男さんの話 北朝鮮情勢の緊迫化に伴い、米軍の訓練がより過酷になっていることが背景に考えられる。中でもオスプレイは固定翼モードと垂直離着陸モードの切り替えの際に脆弱(ぜいじゃく)性が指摘されており、ハードな訓練でもろさが露呈した可能性がある。沖縄や岩国はオスプレイの活動拠点であり、今後も事故が起きかねない。

核なき世界 他に道なし 旧ソ連元大統領・ゴルバチョフ氏、本紙に語る - 東京新聞(2017年10月30日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201710/CK2017103002000122.html
https://megalodon.jp/2017-1030-0940-29/www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201710/CK2017103002000122.html


【モスクワ=栗田晃】東西冷戦の終結に指導的な役割を果たした旧ソ連ミハイル・ゴルバチョフ元大統領(86)が、モスクワで本紙の単独インタビューに応じた。三十年前の一九八七年、当時のレーガン米大統領と中距離核戦力(INF)廃棄条約を結び、核保有大国が初めて核軍縮に踏み出した経験を踏まえ、「『核兵器なき世界』に代わる目標は存在しない。核兵器廃絶を成し遂げないといけない」と強く訴えた。 
ゴルバチョフ氏は九一、九二年に長崎、広島の被爆地を訪問した。八六年のチェルノブイリ原発事故当時はソ連共産党書記長として事故対策を指揮。二〇一一年に東京電力福島第一原発事故を経験した日本との共通点も挙げ、「原爆投下や原発事故を経験した国は、核兵器廃絶との戦いの先頭に立つべきだ。それは日本と(旧ソ連を継承した)ロシアだ」と強調した。
また、核兵器を非合法化する核兵器禁止条約の制定に貢献した非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))のノーベル平和賞受賞決定を「ノーベル賞委員会は極めて正しい判断をした」と祝福した。
ゴルバチョフ氏は、核超大国の米ロによる核軍縮交渉が一向に進んでいない現状を懸念。一九八五年十一月、レーガン大統領との初の首脳会談後に発表した共同声明に盛り込まれた「核戦争は決して容認できず、勝者はいない」との一文を挙げ、「もう一度この意味を思い出してほしい」と訴えた。両氏は八六年にアイスランドレイキャビクで再会談し、INF廃棄条約締結につながった。
ロシアによるウクライナ南部クリミア半島の併合から始まったウクライナ危機やシリア内戦を巡り、米ロ関係は冷え込み、「新冷戦」と呼ばれる緊張関係に陥っている。ゴルバチョフ氏は「深刻な危機からの出口を探すべきだ。三十年前の米ソ対話も簡単ではなかったが、両国の指導者の政治的な意志が決定的な役割を果たした」と指摘。
トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領に「核軍縮に迅速な行動をとるべきだ。米ロ両国のみが、人類の最も重要な目標である核なき世界を達成できる」と重ねて求めた。
ゴルバチョフ氏はインタビューに、一部を口頭、残りは書面で回答した。

ミハイル・ゴルバチョフ> 1931年生まれ。85年にソ連共産党書記長に就任し、ペレストロイカ(改革)やグラスノスチ(情報公開)を推進。米国との間で核軍縮を進め、東西冷戦を終結させた。90年、大統領制導入とともにソ連最初で最後の大統領に就任し、ノーベル平和賞を受賞。91年末、ソ連崩壊とともに退任し、その後は「ゴルバチョフ基金」総裁として講演や執筆活動などに取り組む。今夏にも18作目の著作「楽天家のまま」を出版した。

小児科医「たぬき先生」 毛利子来さん死去 - 東京新聞(2017年10月30日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201710/CK2017103002000110.html
https://megalodon.jp/2017-1030-0942-02/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201710/CK2017103002000110.html

「たぬき先生」の愛称で親しまれ、型にはめない自由な子育てを提唱した小児科医の毛利子来(もうりたねき)さんが二十六日、慢性心不全のため死去した。八十七歳。千葉県出身。自宅は東京都渋谷区。葬儀・告別式は親族で行った。
岡山医科大(現岡山大)卒。勤務医を経て、東京・原宿に小児科医院を開業。約五十五年間にわたって診察を続ける傍ら、育児や教育に悩む母親らの相談に力を注いだ。「基準」や「平均」にとらわれた画一的な育児論に疑問を投げ掛け、子どもの立場だけでなく、親の心情も踏まえた育児論を展開、支持を集めた。
子どもの居場所づくりなどにも取り組み、講演や著作を通じ、地域保育や障害児教育、予防接種問題など親子を巡る幅広い課題で発信を続けた。著書に「赤ちゃんのいる暮らし」など多数。雑誌「ちいさい・おおきい・よわい・つよい」の編集代表も務めた。

(筆洗)323,208件。国公私立小中高、特別支援学校でのいじめの認知件数 - 東京新聞(2017年10月30日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017103002000123.html
https://megalodon.jp/2017-1030-0939-13/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017103002000123.html

『兎(うさぎ)の眼』『太陽の子』などの作家、灰谷健次郎さんの小学校教員時代は今の感覚からすれば、相当、風変わりである。たとえば、入学式の服装。上着は着ているが、下はTシャツで、ネクタイは締めない。
「その服装はなんですか」。教頭に注意された。灰谷先生はこう反論したそうだ。「この日のために、パンツもシャツも全部新しくしてきました。ネクタイをする、しないのかにどんな意味があるのか」。『いのちの旅人 評伝・灰谷健次郎』(新海均・河出書房新社)にあった。本気と本音で、子どもにぶつかった人の逸話である。
これも格好ではなく、本気と本音でぶつかり合わねばならぬ数字である。三十二万三千八百八件。昨年度の全国の国公私立小中高、特別支援学校でのいじめの認知件数である。前年度より約四割増。あまりの多さにため息が出る。
軽微な内容も、いじめとして把握する文部科学省の方針による急増という。ならばその数字は「絶望」ばかりではないかもしれない。
無論、いじめの急増は歓迎できぬが、増えた数字はどんなに軽微なものも、いじめとして見逃さぬという決意の表れでもあろう。見えにくい実態にわずかとはいえ、近づいたと信じたい。
いじめを少なく見せ掛けるネクタイを締めた数字はいらぬ。約三十二万。本当の数字をかみしめ、一件でも減らしていきたい。ここからである。

朴裕河教授に逆転有罪 学問の自由を侵す判断だ - 毎日新聞(2017年10月30日)

https://mainichi.jp/articles/20171030/ddm/005/070/002000c
http://archive.is/2017.10.30-004041/https://mainichi.jp/articles/20171030/ddm/005/070/002000c

慰安婦問題を扱った著書「帝国の慰安婦」で名誉毀損(きそん)の罪に問われた韓国・世(セ)宗(ジョン)大の朴裕河(パクユハ)教授に、ソウル高裁が逆転有罪判決を下した。
大きな影響力を持つ支援団体に後押しされた元慰安婦らの告訴を受けて、検察が2年前に在宅起訴した。今年1月の1審判決は「意見の表明にすぎない」などとして無罪だった。
控訴審判決は一転して、名誉毀損の意図を認定した。根拠とされたのは、不正確な引用を含んでいると指摘される1996年の国連報告書(クマラスワミ報告)などだ。
名誉毀損の適用基準が国によって違うことは理解できる。
しかし、朴教授の著作は植民地の女性を戦場に動員した「帝国」というシステムに着目した学術研究だ。
朴教授は「多くの少女が日本軍に強制連行された」という画一的イメージを否定した。一方で、慰安婦を必要とした帝国主義日本に厳しい視線を向けている。実際には業者が慰安所を運営していたとしても、そのことで日本が免罪されるわけではないと明快に主張した。
日韓のナショナリズムが衝突する状況から脱し、和解へ進む道を模索する意欲が読み取れる。それを否定するのは学問の自由を侵す判断ではないか。極めて残念である。
日本の植民地支配に起因する問題に対して、否定的な見方が韓国社会に多いことは不思議ではない。
だが、感情論や政治性を排した歴史研究は不幸な過去を繰り返さないために重要だ。世論の反発が強い分野でこそ、学問や表現の自由は守られなければならない。
慰安婦問題は外交的にも敏感な懸案だ。特に朴槿恵(パククネ)前政権の前半期には日韓関係全体を悪化させた。一昨年末の日韓合意でやっと状況が変わり、両国の安全保障に緊要な対北朝鮮政策での連携もスムーズに進むようになった。
それでも韓国には合意への反対論が根強い。文在寅(ムンジェイン)大統領は合意見直しを選挙公約としていた。当選後は「見直し」を口にしなくなったものの、日本側には文政権の進める合意の検証への警戒感が強い。
今回の判決は韓国内の合意否定論を勢いづけかねない。文政権には、日韓の感情的対立を再燃させないよう留意してほしい。

(余録)東日本大震災では各地の図書館で蔵書が流された… - 毎日新聞(2017年10月30日)

https://mainichi.jp/articles/20171030/ddm/001/070/106000c
http://archive.is/2017.10.30-004256/https://mainichi.jp/articles/20171030/ddm/001/070/106000c

東日本大震災では各地の図書館で蔵書が流された。車に本を積んで被災地を回り、貸し出すボランティアの活動が喜ばれた。図書館再建のために多額の寄付も集まった。本のありがたさが分かる出来事だった。
被災者によく読まれた本の中にビクトール・フランクルの「夜と霧」がある。著者はナチス・ドイツ強制収容所から奇跡的に生還したユダヤ精神科医だ。戦後まもなく出版された。人は極限状態にあっても一筋の光を見いだし、希望をつなぐ。震災を経験した読者は、その姿に心打たれたのではないか。
本をめぐり、図書館と出版業界の関係は近年、微妙だ。文芸春秋の社長は先日、図書館の文庫本の貸し出しをやめてほしいと訴えた。収益を支える文庫本の貸し出しが増えると、売り上げが落ちる可能性があるからだ。
図書館側は、住民の要望を考えれば簡単には応じられないだろう。共存するには互いが議論を深めるほかない。本を読んでもらいたい気持ちは同じなのだから。
売れ筋とは別に多くの本が誰からも借りられず、図書館の書庫にひっそりと眠っている。そんな本を手に取ってもらおうと知恵を絞る図書館もある。特別のコーナーを設けて「最初の読者になってみませんか」とアピールするのだ。目に触れれば借りる人もいる。
本との出会いは時に心を癒やし、揺さぶり、人生を左右する。古代エジプトの都市にも図書館があった。入り口には「魂の診療所」という意味の言葉が記されていたという。読書の秋が深まる。

夜と霧 新版

夜と霧 新版

(大弦小弦)オランダの英語名は「低い土地の国」を意味し、国土の25%が… - 沖縄タイムズ(2017年10月29日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/163210
https://megalodon.jp/2017-1030-0943-54/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/163210

オランダの英語名は「低い土地の国」を意味し、国土の25%が海面より低い位置にあることに由来する。海面上昇から土地を守るのは、この国最大の課題だ
▼県立美術館で11月11日まで開催中の「テオ・ヤンセン展」にはストランド・ビースト(オランダ語で「砂浜の生命」の意味)と名付けられたプラスチックパイプと結束バンドで作られた作品が並ぶ。誕生のきっかけは、オランダ出身のヤンセンさんの母国の環境問題への関心にあった
▼1986年に新聞に書いたコラムで、砂丘を守るため永遠に砂丘を作り続ける新しい生物が必要だ、と提案した。そして生まれたのがビーストだった
▼最も大きなものは全長約10メートルで250キログラム。巨体が風を受け、72本の脚を生き物のように動かして歩行する映像は圧巻だ。会場内の1体は来場者が押して動かすことができる
▼関節をきしませながら歩く姿に不思議な温かみを感じるのは、風や人の力が動力になっているからだろう。作者は「自然の大部分がタンパク質でできているように、プラスチックだけで作りたい」と材料にこだわる
▼自然を守る事から着想を得たビーストを温暖化の要因である石油由来の物質で作る。そこに作者の皮肉な意図も感じる。人は自然やエネルギーとどう関わっていくべきなのか。展覧会は多くの問いに満ちている。(玉城淳)