言わねばならないこと(66)熟考せず決断 危うい 精神科医、作詞家・きたやま おさむさん - 東京新聞(2016年2月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/iwaneba/list/CK2016021902000205.html
http://megalodon.jp/2016-0219-0952-58/www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/iwaneba/list/CK2016021902000205.html

特定秘密保護法や安全保障関連法の成立をめぐる慌ただしさを見ていると、安倍政権はぱっと決断しないと物事が解決しないという強迫観念を抱いているように感じる。潔さを尊ぶ日本の精神を表すかのようだが、どっちつかずのまま決断しない中途半端さこそが大事だと強調したい。
私たちは戦後七十年間、さまざまに評価が分かれる憲法九条の線上で、日本的な平和を築いてきた。それを象徴する存在が自衛隊だ。「戦力」と位置付けなかったのは、私たちに戦争中の反省や罪悪感が記憶として残っているからだ。
湾岸戦争時には「カネだけ出して何もしない」と他国に批判された。だが、日本は同じ立場を貫いてきた。そんなに「未熟な状態」なのか。弱い者ほど外部の目で自分を評価する。共同体から外されても、内なる孤独に強くならないといけない。
安倍晋三首相は今、国際的な脅威を訴え「大変だぞ、どうするんだ」という問いを突きつけてきている。問題は山積しているし、片付けていかなければならない。だが、良いアイデアが浮かぶまでには時間がかかるし、一生懸命考えて答えが出ないこともある。
熟考せず、決断ばかり優先すれば、その場の空気に流されかねない。東京電力福島第一原発事故にしても、何もなかったかのように他の原発は再稼働している。本当に正しいのか。国がとる態度は、国民一人一人の意思の総和であるべきだ。国の意思を優先させるような論理には反対だ。
かつて「戦争を知らない子供たち」という曲の作詞を手掛け「私に残っているのは涙をこらえて歌うことだけさ」と書いた。有事になれば「歌っている場合か」という声にかき消されるだろう。それでも、小さな声で歌い続けていたい。
1946年生まれ。60年代後半に人気を博したザ・フォーク・クルセダーズの元メンバー。解散後は医師として活動。

児童養護施設からの巣立ちを支援 世田谷区、都内で初 - 東京新聞(2016年2月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016021802000255.html
http://megalodon.jp/2016-0219-0906-12/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016021802000255.html

◆世田谷区 都内初
児童養護施設を十八歳で退所したり、里親の元を巣立ったりして大学などに進学する若者に向け、東京都世田谷区は新年度、区営住宅を月額一万円で貸し出す取り組みを始める。また、返済の必要のない給付型の奨学金制度も創設する。親の虐待などで親元を離れ、経済的な支援が受けられない若者には、高額な学費や生活費の負担が進学の妨げになっているためだ。 (小形佳奈、川上義則)
児童養護施設出身者らを対象にした家賃補助は京都市が、給付型奨学金は同市と長野県がそれぞれ導入しているが、いずれも都内の自治体では例はなく、全国的にも珍しい。
世田谷区は今月発表した二〇一六年度予算案に関連費用として二千二百四十七万円を計上。区内二カ所の児童養護施設や三カ所の自立援助ホーム、里親の元で生活してきた若者らを対象にしている。
貸し出すのは民間の賃貸住宅を借り上げた3DKの五室で、一室に若者二〜三人で共同生活してもらう。原則として学生は卒業まで、社会人は二年間支援を受けられる。
給付型の奨学金制度は大学や短大、専門学校に通い、親族などから経済的支援を受けられない学生に在学中、年額三十六万円を上限に給付する。初年度は二十人を予定している。
厚生労働省の調査では、一三年三月に高校を卒業した子どもの大学、短大、専門学校などへの進学率は76・8%だが、児童養護施設出身者は22・6%。世田谷区によると、進学できても、学費や生活費を捻出するために働き過ぎて体調を崩したり、費用を賄いきれずに生活が追い詰められるケースも少なくなく、進学先での中退率は高いという。
無事に卒業しても、一般的な貸与型の奨学金を利用した場合、利子を含めて返済しなくてはならない。世田谷区にある児童養護施設「福音寮」の飯田政人園長は「貸与型奨学金を借りて大学進学を望んだ子どもに、将来の負担の大きさを考え、利用を思いとどまらせたこともある。返済の必要がない世田谷区の給付型奨学金は大変ありがたい」と歓迎する。
日本大文理学部の井上仁教授(児童福祉)は「社会的養護が必要な子どもは格差社会の中でも、最も光が当たらぬ存在。他の自治体でも支援が広がれば」と期待する。
◆短大生・田中さん 余裕のなさ友達関係にも影響
児童養護施設で育ち、四月から世田谷区の住宅支援を受ける予定の短大生、田中麗華さん(20)は、区内で一月末に開かれたシンポジウムで登壇し、「お金のやりくりには、いつも苦労しています」と窮状を明かした。
小学二年の時、父親の暴力に耐えかねた母親が家から去り、姉と二人で家出したところを児童相談所に保護された。その後、児童養護施設に入り、高校を卒業するまで過ごした。
短大では、保育士を目指して勉強中。授業料は月五万七千円の貸与型奨学金を中心に賄っており、卒業時には百三十万円を超える借金を背負う。生活費はスポーツクラブのアルバイトなどで稼ぐ。家賃は月四万円。食費を月二万円に抑えても貯金は難しい。
定年退職した父親や結婚して子どもがいる姉には、経済的な援助は望めない。
「友達と一緒に食事したり、遊びに行ったりできない。経済的な余裕のなさが友達関係にも影響する」と悩みを打ち明け、「短大に行きたくない時期もあった」と振り返る。世田谷区の住宅支援について「家賃が一万円で済むなら、差額を奨学金の返済に充てられる」と喜んでいる。

「原発事故で失職・精神疾患に」 自主避難で東電に初の賠償命令 - 東京新聞(2016年2月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016021902000128.html
http://megalodon.jp/2016-0219-0908-02/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016021902000128.html

東京電力福島第一原発事故の影響で、福島県から京都市内に自主避難した四十代の夫婦と子どもが、仕事を失った上、精神疾患を発症したとして、東電に計約一億八千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁(三木昌之裁判長)は十八日、夫婦への計約三千万円の支払いを命じた。 
原告側の代理人によると、自主避難者に対する東電の賠償責任が認められた判決は初めてとみられる。
賠償額は原子力損害賠償紛争解決センターの裁判外紛争解決手続き(ADR)で東電と原告側双方の主張を踏まえて提示されていた約千百万円を上回った。原告側は「ADRでの提示額に納得いかなくとも諦める必要はないと判決が先鞭(せんべん)をつけた」と評価した。
判決によると、夫は会社を経営していたが、二〇一一年三月の原発事故を機に自主避難を開始。避難後に不眠症うつ病になり、同五月ごろ、就労不能状態になった。
三木裁判長は判決理由で「夫が発症した不眠症うつ病原発事故が主な原因の一つ」と認定。夫婦がそれぞれ求めていた就労不能による損害についても事故との因果関係を認めた。その上で、夫婦の休業に伴う損害計約二千百万円や自主避難に伴う費用などを賠償すべきだとした。自主避難を続ける合理性があった時期は一二年八月末までとし、以降については退けた。
慰謝料の額は「住み慣れた福島県から地縁のない土地への転居を余儀なくされ、安定した生活が失われた」として、夫は百万円、妻は七十万円と判断した。
東電側は自主避難者への賠償は国の指針の範囲に限られると主張したが、判決は「指針の対象外でも個別具体的な被害の事情に応じて損害を認めることはあり得る」として退けた。
福島県によると、昨年十月末時点で、避難区域外から県内外への自主避難者は推計で約七千世帯、約一万八千人。
東京電力の話> 判決内容を精査し引き続き真摯(しんし)に対応していく。
原発事故の賠償> 東京電力福島第一原発事故の被害者への賠償は、文部科学省原子力損害賠償紛争審査会が損害の項目や範囲ごとに指針を定めている。賠償請求には東電との直接交渉のほか、原子力損害賠償紛争解決センターへの裁判外紛争解決手続き(ADR)の申し立てや裁判がある。ADRは訴訟より簡易な手続きで、速やかな解決を促すのが狙い。仲介委員が被害者と東電の意見を聞き調査を進め、和解案を提示。双方が受け入れれば和解が成立する。

高浜原発1、2号機が審査合格へ 新規制基準、老朽原発では初 - 福井新聞(2016年2月19日)

http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/npp_restart/89739.html
http://megalodon.jp/2016-0219-1337-30/www.fukuishimbun.co.jp/localnews/npp_restart/89739.html

関西電力が再稼働を目指す老朽原発の高浜1、2号機について、原子力規制委員会の主要審査が18日におおむね終了した。規制委は新規制基準を満たしているとして、合格証の原案となる「審査書案」を作成し、2基は近く事実上、審査に合格する見通し。意見公募を経て正式合格となる。運転開始から40年を超える原発の審査合格は初めて。
原子炉等規制法は、原発の運転期間を原則40年に制限しているが、規制委が認可すれば、特例で最長20年延長できる。高浜1号機は2014年11月、2号機は昨年11月に運転開始から40年を迎えた。2基は、7月7日までに新基準に基づく審査のほか、運転延長の審査に合格しなければならない上、設備の詳細設計をまとめた工事計画の認可も必要。新基準は、事故時の対応拠点として緊急時対策所の設置を求めているが、関電は2基の緊対所の運用時期を未定としており、再稼働時期は不透明だ。
2基の審査では、防火性能が不十分なケーブルの難燃化対策が焦点となっていたが、規制委は昨年12月、ケーブルを防火シートで包んだり、燃えにくい素材に交換したりするとした関電の方針を了承。原子炉設備の耐震設計をめぐっては、実際の設備で安全性を確認することなどで議論はおおむね終えた。
運転開始から40年前後の原発の存廃では、関電美浜1、2号機と日本原電敦賀1号機、中国電力島根1号機(松江市)、九州電力玄海1号機(佐賀県)の5基が昨年4月に廃炉になった。関電だけが高浜1、2号機、美浜3号機の運転延長を申請し、安全対策の費用として1基当たり1千億円超を見込んでいる。
これまで規制委の審査に合格した原発は、九電川内(せんだい)1、2号機(鹿児島県)、高浜3、4号機、四国電力伊方3号機(愛媛県)で、高浜1、2号機が合格すれば4例目となる。

内閣法制局 想定問答文書作成しながら「国会に非開示」か - 毎日新聞(2016年2月18日)

http://mainichi.jp/articles/20160219/k00/00m/040/077000c
http://megalodon.jp/2016-0219-0911-13/mainichi.jp/articles/20160219/k00/00m/040/077000c

集団的自衛権行使容認に伴う憲法9条の解釈変更を巡り、内閣法制局が想定問答の文書を作成していながら国会に開示しなかった疑いが浮上し、18日の参院決算委員会で横畠裕介長官は「調査中」と答弁した。
17日にこの問題を報じた朝日新聞によると、法制局は2014年6月、国会審議に備えた想定問答を作成。ナンバー2の内閣法制次長が了解したことを示すコンピューターの共有フォルダーに保存されているという。参院決算委は今年1月、集団的自衛権行使容認の閣議決定に関し法制局が作成・保存しているすべての文書の開示を要求したが、2月に開示された文書の中にこの想定問答はなかった。
報道が事実かどうかただした難波奨二議員(民主)に対し、横畠氏は「当時、私が差し戻した想定問答があったのは記憶している。ボツになったものが消されずに残っていたのだと思うが、確認のため最近のアクセス状況などについて調査している」と述べた。公文書管理法や情報公開法は「職員が組織的に用いるもの」を行政文書と定義し、保存や公開の対象にしている。【日下部聡】

非開示資料の存在認める 集団的自衛権容認で法制局 - 東京新聞(2016年2月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016021902000127.html
http://megalodon.jp/2016-0219-0934-08/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016021902000127.html

内閣法制局の横畠裕介長官は十八日の参院決算委員会で、憲法解釈を変更し集団的自衛権行使を容認した二〇一四年七月の閣議決定をめぐり、国会に情報開示していない内部検討資料とみられるデータが存在すると認めた。同時に、国会審議に備えた想定問答の作成途中のものと考えられ、公文書管理法が定める行政文書に当たらないと強調した。
参院決算委は一月二十一日、この閣議決定に関して法制局が作成、保存した全ての文書の開示を要求。法制局は二月八日の同委理事懇談会で一部開示にとどめていた。
質問した民主党難波奨二氏は「法制局内部の協議過程で作られた想定問答だ。行政文書でないと言ったら大変だ。納得いかない」と反発。情報開示に消極的な法制局を批判した。
法制局が内部の検討資料を正式な行政文書として残していないことは昨年九月、法制局関係者の話で明らかになっていたが、横畠氏が答弁で資料の存在を明確に認めたのは初めて。
横畠氏によると、データは法制局が使うサーバー内に保存。閣議決定後の一四年七月に開かれた衆参両院の予算委員会で横畠氏の答弁資料として準備されたとみられ「現在調査中だ」としている。
横畠氏は「長官が了とした答弁資料は行政文書として整理している。行政文書として保存している想定問答はない」と述べ、自身が目を通した上で、実際は不要と判断した資料が廃棄されず残った可能性があるとした。公文書管理法は行政機関が組織的に用いる資料を「行政文書」として保存するよう義務付けている。

集団的自衛権めぐる想定問答、存在認める 法制局長官 - 朝日新聞(2016年2月19日)

http://www.asahi.com/articles/ASJ2L5S2ZJ2LUTFK00Z.html?iref=comtop_list_pol_n03
http://megalodon.jp/2016-0219-0923-43/www.asahi.com/articles/ASJ2L5S2ZJ2LUTFK00Z.html?iref=comtop_list_pol_n03

集団的自衛権の行使を認めた2014年7月の閣議決定に関連し、内閣法制局が国会から文書開示を求められたのに開示していなかった「想定問答」について、横畠裕介長官は18日の参院決算委員会で「担当者から想定ベースの答弁資料の案をもらった」と述べ、存在することを認めた。だが、保存すべき公文書管理法上の「行政文書」に当たらないとの見解も示した。
参院決算委は1月、法制局に対して「集団的自衛権に関する閣議決定に関して内閣法制局が作成し、保存している全ての文書」を開示するよう求めていた。
横畠氏は想定問答について「調査中だ」としたが、「私の段階で差し戻した、できあがらなかった想定問答があったことは記憶している」と答弁。長官自身も目を通していたことを明らかにした。その一方で「想定問答はできあがらなかったものであり、組織的に用いるものではないということだ」と述べた。

廃止法案きょう提出 安保の根幹 正さねば - 東京新聞(2016年2月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016021902000139.html
http://megalodon.jp/2016-0219-0912-52/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016021902000139.html

いくら積み重ねたとしても土台が揺らいでいれば、いつかは崩れてしまう。憲法違反と指摘される安全保障関連法。今こそ根幹を正さなければならない。
昨年九月十九日未明、安倍政権が「平和安全法制」と呼び、採決を強行した安全保障関連法が参院本会議で可決、成立した。
あれからちょうど五カ月。政権のおごりか、ほころびか、閣僚や議員の相次ぐスキャンダルで、国会はすっかり政府・自民党の釈明の場と化し、安保法をめぐる議論は隅に追いやられた感がある。
しかし、安倍政権の安保関連法をこのまま放置し、既成事実化させるわけにはいかない。他国同士の戦争に参加する「集団的自衛権の行使」を可能にし、多くの憲法学者ら専門家が「憲法違反」と指摘する法律だからである。
民主、共産、維新、社民、生活の野党五党はきょう安保関連法を廃止するための法案を提出する。
野党側には安倍政権による安保政策の是非を、夏の参院選で争点化したい狙いもあるのだろうが、あえてその意義を認めたい。
廃止法案に先立ち、衆院統一会派を組む民主、維新両党はきのう、安保関連法の対案となる領域警備法案など三法案を提出した。
安倍晋三首相が「全体像を一括して示してほしい」と野党側に求めていた対案の提出である。与党側は、廃止法案と合わせて、真摯(しんし)に法案審議に応じるのが筋だ。
安倍政権が成立を強行した安保関連法の最大の問題点は、主に自民党が担ってきた歴代内閣が踏襲してきた、集団的自衛権の行使をめぐる政府の憲法解釈を、安倍内閣が一内閣の判断で変更してしまったことにある。
専守防衛、本来の姿に
おさらいしよう。
戦後制定された日本国憲法は九条で、国際紛争を解決するための戦争や武力の行使、武力による威嚇は行わないと定めた。
日本国民だけで三百十万人の犠牲を出し、交戦国にとどまらず、近隣諸国にも多大な犠牲を強いた先の大戦に対する痛切な反省に基づく、国際的な宣言でもある。
その後、日米安全保障条約によって米軍の日本駐留を認め、実力組織である自衛隊を持つには至ったが、自衛権の行使は、日本防衛のための必要最小限の範囲にとどめる「専守防衛」を貫いてきた。
一方、集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力で阻止する、国連憲章で認められた国際法上の権利だ。
歴代内閣は、日本が集団的自衛権を有していることは主権国家である以上、当然だが、その行使は専守防衛の範囲を超え、許されない、との見解を貫いてきた。
国際法との整合に挑んだこの憲法解釈は、国権の最高機関である国会や政府部内での議論の積み重ねの結果、導き出された英知の結集でもある。
自国に対する武力攻撃は実力で排除しても、海外で武力を行使することはない。日本国民の血肉と化した憲法の平和主義は、戦後日本の「国のかたち」であり、安全保障政策の根幹である。
安倍内閣が二〇一四年七月に行った、集団的自衛権の行使を一転認める閣議決定は、憲法の法的安定性を損ない、安保政策の根幹をゆがめるものだ。この閣議決定に基づく安保関連法に対して、多くの憲法学者が「憲法違反」と断じるのは当然だろう。
日本の安保政策を、専守防衛という本来の在り方に戻すには、集団的自衛権の行使を認める閣議決定を撤回し、安保関連法を廃止する必要がある。
野党側による安保関連法廃止法案の提出を、専守防衛を逸脱しつつある安保政策の根幹を正す第一歩としたい。与党側も逃げずに、堂々と論戦に応じるべきだ。安保関連法は三月末までに施行されるが、とりあえず施行の延期を検討してはどうだろうか。
◆無関心が暴走を許す
憲法を逸脱しつつある安保政策を根幹から正すには、世論の後押しが必要だ。国会周辺をはじめ全国各地できょうも行われる路上の訴えに、安倍政権はあらためて耳を傾けるべきだろう。
そして何よりも、専守防衛という戦後日本の国是を守り抜く決意を、国民が自ら選挙で示すことが重要だ。諦めや無関心は、政権の暴走を許すだけだ。
私たちの新聞が、平和主義を貫こうとする国民の側に立つのは当然だ。政府の言い分をうのみにせず、自らの判断力で問題提起を続ける。新聞として当然の役割を、この機にあらためて自任したい。

民放労連、「電波停止」発言の高市総務相に公開質問状 朝日報じる - jcast_news(2016年2月18日)

http://www.j-cast.com/2016/02/18258876.html

日本民間放送労働組合連合会民放労連)が高市早苗総務相に公開質問状を送ったと、2016年2月16日の朝日新聞電子版が報じた。高市氏は2月8日の衆院予算委員会で、「政治的に公平であること」を求めた放送法4条に違反した放送を繰り返した場合、電波法に基づいて電波停止を命じる可能性に言及していた。
民放労連は質問状で、放送法4条に「法規範性がある」と考える理由や、自民党が15年4月にNHKテレビ朝日の経営幹部を呼び事情聴取したことを放送法違反で厳重注意する考えはないかなど5項目について、2月末までの回答を高市氏に求めているという。

相次ぐ放言 政治家の軽すぎる言葉 - 毎日新聞(2016年2月19日)

http://mainichi.jp/articles/20160219/ddm/005/070/062000c
http://megalodon.jp/2016-0219-0914-18/mainichi.jp/articles/20160219/ddm/005/070/062000c

信じられないような政治家の放言が与野党で相次いでいる。いずれも「軽率だった」「誤解を招き陳謝して撤回する」だけでは済まされない発言だ。各党はもっと深刻に受け止め、猛省すべきである。
まず、自民党丸山和也参院議員の「今、米国は黒人が大統領になっている。黒人の血を引くね。これは奴隷ですよ」という発言だ。
憲法のあり方を議論する参院憲法審査会で丸山氏は唐突に「日本が米国の51番目の州となることに憲法上どんな問題があるのか」と提起して「日本州出身が米大統領になる可能性が出てくる」とも語った。
後に「米国は人種に関係なく大統領になれる国だと言いたかった」と陳謝したが、人種差別的な発言と受け取られるとは当初は思いもしなかったようだ。しかもオバマ氏は奴隷の末裔(まつえい)ではない。日本が米国の州の一つになるという話も荒唐無稽(むけい)というほかない。
一方、民主党中川正春・元文部科学相の発言も看過できない。
現金授受問題で閣僚を辞めた甘利明前経済再生担当相が「睡眠障害」のため1カ月の自宅療養が必要と診断されたとの報告を受け、党の会合で「いよいよ攻勢をかけていく時だ。(安倍晋三)首相の睡眠障害を勝ち取りましょう」と呼びかけた。
冗談のつもりで軽々しく口にしてしまうのが、むしろ問題だ。睡眠障害で苦しんでいる人や、その家族らはどんな思いで聞いただろう。
両氏に共通しているのは、自らの発言がどう受け止められるか、配慮や想像力を著しく欠いている点だ。自分の立場や発言の場もわきまえていない。その発言の基となる知識も中途半端で、思いつくままに語っているとしか見えない。
その意味で丸川珠代環境相が除染などによる年間の追加被ばく線量の長期目標について「何の科学的根拠もない」などと語って撤回したのも同じような放言といっていい。
麻生太郎財務相の答弁も見過ごせない。「軽減税率の導入で廃業する零細事業者が出るのでは」との野党の質問に対し、「そういった例がないとは言わない。一つや二つ、100、1000あったとかいろいろ出てくると思う」と答えた。これも後に訂正したが、廃業が出ないよう努力すべき担当閣僚として乱暴な答弁だ。
仮に官僚が同じような発言をしていたら政治家側は直ちに厳しい処分に乗り出すのではなかろうか。言うまでもなく政治家が最も大切にしないといけないのは言葉だ。身内の放言に対し、所属政党が毎回、厳しく対処すべきである。そうでないとますます政治家の劣化は進み、その存在自体が軽いものとなっていく。

安保・野党案 「違憲法制」正す議論を - 朝日新聞(2016年2月19日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S12216115.html?ref=editorial_backnumber
http://megalodon.jp/2016-0219-0918-40/www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p

幅広い専門家らの「憲法違反」の指摘に反し、安倍政権が安全保障法制を成立させたのは昨年9月19日のことだった。
それからちょうど5カ月。
民主党と維新の党がきのう、対案として、領域警備法案、周辺事態法改正案、国連平和維持活動(PKO)協力法改正案の3法案を国会に共同提出した。
さらにきょう、共産党生活の党と山本太郎となかまたち社民党も加えた野党5党が「違憲」の安保法制を廃止する2法案を国会に提出する。
予定通りなら安保法制は3月に施行される。法制成立から5カ月後の対案提出は、遅きに失した感は否めない。
それでも、「違憲」法制をこのままにはできない、もう一度議論を巻き起こしたいと野党各党が一致した意義は大きい。
政府の安保法制は、憲法9条の縛りを解き、地球規模での自衛隊の派遣と、他国軍への支援を可能にするものだ。
これに対し、民主党は「専守防衛に徹し、近くは現実的に、遠くは抑制的に、人道支援は積極的に」と主張する。
日本の安全に資するには、海外での武力行使に道を開くよりむしろ、日本防衛や日本周辺での活動を中心に、憲法の枠内での法整備を考えるべきだ、という指摘だろう。
維新の党と共同提出した対案も、その線に沿っている。現実的な考え方として国会で議論する価値はある。
与党多数の国会では、野党の対案はなかなか審議されず、たなざらしにされがちだ。
だが、多くの疑問や反対を残したまま法制を施行することは、安保政策を安定的、継続的に運用する観点からも望ましくない。政府・与党も、すすんで議論に応じてはどうか。
夏には参院選がある。安保法制が本格的に運用されるのは、そのあとになりそうだ。
PKOに派遣する自衛隊への「駆けつけ警護」任務の追加や、米軍への弾薬提供など後方支援を広げる日米物品役務相互提供協定(ACSA)改定案の国会提出は参院選後に先送りされる。反発を再燃させたくないという判断だろう。
こうした政府の動きに、野党がどう向き合うかが問われる。
憲法が権力を縛る立憲主義を守っていく。安保政策に違いはあっても、「違憲」法制を正す議論には党派を超えて粘り強く挑み、市民とともに幅広い連帯を育てていく。
それが安保法制に疑問や不安を抱く民意に対する、野党の責任ではないか。

国連女性差別撤廃委員会における杉山審議官の主な発言 - 朝日新聞(2016年2月19日)

http://www.asahi.com/articles/ASJ2L7JGBJ2LUHBI02H.html?iref=comtop_list_pol_n01
http://megalodon.jp/2016-0219-0920-29/www.asahi.com/articles/ASJ2L7JGBJ2LUHBI02H.html?iref=comtop_list_pol_n01

国連の女性差別撤廃委員会の対日審査で、慰安婦問題をめぐる杉山晋輔外務審議官の発言は以下の通り。
    ◇
冒頭発言の中で触れた部分
長年にわたり日韓両国間の懸案事項であった慰安婦問題に関しては、昨年12月28日に日韓外相会談が行われ、この問題は両国の間で「最終的かつ不可逆的」に解決されることが確認をされました。現在、両国それぞれが合意の内容を誠実に実行に移すべく取り組んでいるところであります。
日本政府としては20世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を胸に刻み続け、21世紀こそ女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、リードしていく考えであります。
本件については一言付け加えさせていただきます。そもそも女子差別撤廃条約は日本が同条約を締結した1985年ですが、締結以前に生じた問題に対してさかのぼって適用はされないということでありますから、慰安婦問題を当条約の実施状況の報告において取り上げることは、適切ではないというのが日本政府の基本的な考え方だ、ということを一言付け加えさせていただきます。

委員との質疑応答での発言?

これまで申し上げたことに加えて、次のとおり主要な点、重要ですので口頭で申し上げます。
まず書面でも回答したとおり、日本政府は日韓間で慰安婦問題が政治・外交問題化した1990年代初頭以降、慰安婦問題に関する本格的な事実調査を行いました。しかしながら日本政府が発見した資料の中には軍や官憲による、いわゆる強制連行というものを確認するもの、確認できるものはありませんでした。
慰安婦が強制連行されたという見方がひろく流布された原因は、1983年、故人になりました吉田清治氏が「私の戦争犯罪」という本、刊行物の中で、吉田清治氏自らが「日本軍の命令で韓国のチェジュ島において大勢の女性狩りをした」という虚偽の事実を捏造(ねつぞう)して発表したためであります。この書物の内容は当時、大手の新聞社の一つである朝日新聞社により、事実であるかのように大きく報道され、日本、韓国の世論のみならず国際社会にも大きな影響を与えました。しかしながら、この書物の内容は後に複数の研究者により完全に想像の産物であったことがすでに証明されています。
それが証拠にこの朝日新聞自身も、2014年8月5日および6日をふくめ、その後9月にも累次にわたり記事を掲載し、事実関係の誤りをみとめ、正式にこの点につき読者に謝罪をしています。また、「20万人」という数字も具体的な裏付けのない数字であります。朝日新聞は2014年8月5日付の記事で、女子挺身(ていしん)隊とは戦時下の日本内地や旧植民地の朝鮮・台湾で女性を労働力として動員するために組織された女子勤労挺身隊を指す、目的は労働力の利用であり、将兵の性の相手をさせられた慰安婦とは別だ、としたうえで、「20万人」との数字のもとになったのは、通常の戦時労働に動員された女子挺身隊と、ここでいう慰安婦を誤って混同したことにあると自ら認めているのであります。
なお、「性奴隷」といった表現は事実に反します。
日韓両政府間では、慰安婦問題の早期妥結に向けて真剣に協議をおこなってきたところでありますが、先ほど申し上げたように、昨年12月28日にソウルにて日韓外相会談が開催され、日韓外相間で本件につき妥結にいたり、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的」に解決されることが確認をされました。同日午後、日韓首脳電話会談が行われ、両首脳はこの合意にいたったことを確認し、評価した次第であります。冒頭申し上げましたように、このときの日韓合意を表す資料は書面の回答に添付されておりますので、ここでその内容の詳細をくりかえしてご説明することはしません。日本政府はこれまでもアジア女性基金などを通じて本問題に真剣に取り組んでまいりました。今後もしたがって韓国政府が元慰安婦の方の支援を目的とした財団を設立し、これに日本政府の予算10億円程度でありますが、資金を一括で拠出し、日韓両政府が協力し全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業を行うこととなっております。
現在、日韓両国政府はそれぞれ、合意内容を誠実に実行に移すべく取り組んでいるところであり、この点は現時点でもまったく変わりはありません。このような日韓両国政府の努力につき、国際社会のご理解をいただけると大変ありがたく思います。ちなみに、潘基文国連事務総長を含め、国際社会は日韓両国が合意に達したことに歓迎の意を表明していると承知をしています。
もう一点だけ、最後に付け加えます。いまご質問いただいたホフマイスター判事は、他の国の例もお挙げになりました。先の大戦に関わる賠償ならび財産及び請求権の問題について、ご指摘になられた点も含め、日本政府は米仏等45カ国との間で締結したサンフランシスコ平和条約、それだけではなくて、その他の二国間の条約など、これは日韓請求権経済協力協定も含めますし、日中の処理の仕方も含みます。こういったものによって、ここでそれいちいち法律的に説明することはしませんが、誠実に対応してきており、これらとの条約などの当事者との間では、個人の請求権の問題を含めて、法的に解決済みだ、というのが日本政府の一貫した立場です。
最後に一言。にもかかわらず、日本政府はアジア女性基金を構築し、我が国の予算からの拠出と一般からの募金によって一定の活動をしたということも、説明をすると、きちんと説明するためには長くなりますので、ここでアジアの女性基金についての詳細は説明しませんが、おそらくここにおられる各委員の皆様はその内容をよくご存じと思いますので、その点だけ付言をして私の答えにさせていただきたいと思います。

委員との質疑応答での発言?

あのゾウ委員からご指摘された点についていくつかお答えをします。
まず第一に、さきほど内容については、あの、「すでにお配りしてあるので詳しく説明しません」と申し上げましたが、昨年の12月28日に岸田大臣と尹長官の間で、「最終的かつ不可逆的」に解決されていることは文書の回答の添付の文書を見ていただければ、明確だと思います。従って、日本政府がこの問題について、例えば、歴史の否定をしているとか、この問題について何の措置も執っていないというご批判は事実に反するといわざるをえません。
ちなみに、さきほど、いわゆる強制ということは、我々が調査した中では、裏付けられなかった、と申し上げましたが、この岸田大臣の合意のなかには、慰安婦問題は当時の軍の関与のもとに多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、日本政府は責任を痛感している、えー、ちょっと飛ばしますが、これらすべての方々に心からおわびと反省の気持ちを表明する、そして額は10億円程度ということですが、日本の予算の措置により、財団を設立する。あの、それからさらにいろんな説明しなきゃいけないんですが、中身について時間がないのでそれ以上はいいません。
ここでいう、当時の軍の関与というのは、慰安所が軍当局の要請により設立されたものであるとか、慰安所の設置管理および慰安婦の移送について日本軍の関与があったとか、あるいは慰安婦の募集について軍の要請を受けた業者が主にこれに当たったということであるということは、従来から認めていることであって、私がさっき申し上げたことは、そのこととともに、たとえば「20万人」という数字は完全に間違いだと、本人っていうか、出した新聞社が認めているとか、そういうことを明確にするために申し上げたわけだし。それから「性奴隷」という表現も事実に反するということをもう一度ここで繰り返しておきたい。
ちなみに、書面で回答に添付したこの両外相の共同発表の文書の中にも「性奴隷」という言葉は1カ所も見つからないのも事実であります。従って、今、ゾウ委員からご指摘を受けましたが、非常に残念なことに、ゾウ委員のご指摘は、いずれの点においても、日本政府として受け入れられるものでないだけではなくて、事実に反することを発言されたという風に、申し上げざるを、残念ながら、申し上げざるを得ないということを明確に発言をしておきたいと思います。

委員との質疑応答での発言?

ほんの数十秒。さきほど一つ大事なことを言うのを忘れたのでいいます。
あの、すでに先ほど申し上げたとおり、委員のお手元に届けてある日韓の合意、これは日韓間の合意であって、これを現在、日韓両国政府はそれぞれ誠実に実行に移すべく、取り組んでいるところであり、この点は全く変わっていません。このような日韓間の合意についてぜひ理解をしていただきたい。こういう重要なことを忘れていたのでもう一回繰り返します。

国連委で慰安婦報道言及、外務省に申し入れ 朝日新聞社 - 朝日新聞(2016年2月19日)

http://www.asahi.com/articles/ASJ2L46V7J2LUTIL00Y.html
http://megalodon.jp/2016-0219-0921-36/www.asahi.com/articles/ASJ2L46V7J2LUTIL00Y.html

スイス・ジュネーブで16日に開かれた国連女性差別撤廃委員会の対日審査で、外務省の杉山晋輔外務審議官慰安婦問題について発言した際に朝日新聞の過去の報道などに触れ、「国際社会に大きな影響を与えた」などと述べた。朝日新聞東京本社報道局は18日、外務省に対し、「根拠を示さない発言」などとして遺憾であると文書で申し入れた。
杉山氏は、朝鮮で慰安婦を強制連行したと証言した故・吉田清治氏について「虚偽の事実を捏造(ねつぞう)して発表した」と説明し、「(吉田氏の)書物の内容は当時、大手の新聞社の一つである朝日新聞社により事実であるかのように大きく報道され、日本、韓国の世論のみならず国際社会にも大きな影響を与えた」と述べた。
さらに、慰安婦の人数について、「20万人という数字も具体的に裏付けのない数字」とし、「20万人との数字のもとになったのは、通常の戦時労働に動員された女子挺身(ていしん)隊と、ここでいう慰安婦を誤って混同したことにあると(朝日新聞が)自ら認めているのであります」などと発言した。
慰安婦に関する報道をめぐっては、朝日新聞社は2014年8月、吉田氏の証言を虚偽と判断し、関連の記事を取り消した。
申入書では、国際的な影響について、朝日新聞慰安婦報道を検証した第三者委員会でも見解が分かれ、報告書では「韓国の慰安婦問題批判を過激化させた」「吉田氏に関する『誤報』が韓国メディアに大きな影響を及ぼしたとは言えない」などの意見が併記されたと説明。国際社会に大きな影響があったとする杉山氏の発言には根拠が示されなかったと指摘した。
また、女子挺身隊と慰安婦を混同して報じた点について、朝日新聞社はおわびし、訂正しているが、20万人という数字について、「女子挺身隊と慰安婦の混同がもとになったとは報じておりません」と指摘した。慰安婦の人数については諸説あることを報じていることも伝えた。
川村泰久外務報道官は文書を受け取った上で、「お申し入れの内容が詳細なので、精査させて頂きます」とコメントした。
     ◇
朝日新聞による慰安婦報道を検証する「第三者委員会」が2014年12月22日に公表した報告書で、「国際社会に与えた影響」については三つの報告が併記された。このうち吉田清治氏の証言(吉田証言)をめぐる報道について触れた主な部分は以下の通り。

岡本行夫委員、北岡伸一委員

「(日本軍が、直接、集団的、暴力的、計画的に多くの女性を拉致し、暴行を加え、強制的に従軍慰安婦にした、という)イメージの定着に、吉田証言が大きな役割を果たしたとは言えないだろうし、朝日新聞がこうしたイメージの形成に大きな影響を及ぼした証拠も決定的ではない。しかし、韓国における慰安婦問題に対する過激な言説を、朝日新聞その他の日本メディアはいわばエンドース(裏書き)してきた。その中で指導的な位置にあったのが朝日新聞である。それは、韓国における過激な慰安婦問題批判に弾みをつけ、さらに過激化させた」

波多野澄雄委員

朝日新聞の吉田氏に関する『誤報』が韓国メディアに大きな影響を及ぼしたとは言えない」

林香里委員

「国際報道調査のもっとも端的な結論は、朝日新聞による吉田証言の報道、および慰安婦報道は、国際社会に対してあまり影響がなかったということである」

三者委員会報告書の全文(PDF)
http://www.asahi.com/shimbun/3rd/2014122201.pdf

民主と維新、安保対案を提出 集団的自衛権行使「違憲」 - 朝日新聞(2016年2月19日)

http://www.asahi.com/articles/ASJ2L4QJLJ2LUTFK007.html?iref=comtop_list_pol_n04
http://megalodon.jp/2016-0219-0925-13/www.asahi.com/articles/ASJ2L4QJLJ2LUTFK007.html?iref=comtop_list_pol_n04

民主党と維新の党は18日、昨年成立した安全保障関連法の対案として、独自の領域警備法案など3法案を衆院に共同提出した。集団的自衛権の行使容認を含む現行法は「違憲」として、「憲法が認める範囲内」で自衛隊活動の充実を図る内容だ。参院選での争点化をめざす。
周辺事態法改正案と国連平和維持活動(PKO)協力法改正案も提出。尖閣諸島周辺などを想定し、武力攻撃に至らないグレーゾーン事態に対応するため、自衛隊海上保安庁の連携を強化する内容だ。また、現行法が拡大した自衛隊の出動範囲や活動内容を限定し、後方支援の対象国も米国などに絞った。
菅義偉官房長官は18日の会見で現行法について「ベストで必要不可欠だ」と強調。自民党国対幹部は野党提出の3法案は審議しない方針を示している。
民主と維新は3法案とは別に、安保法の廃止法案も共産、社民、生活を含めた5党で19日に提出する。

在日コリアン「明日への希望」 三部作を再演 新国立劇場 - 東京新聞(2016年2月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2016021802000215.html
http://megalodon.jp/2016-0219-0911-40/www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2016021802000215.html

「月はどっちに出ている」(一九九三年)や「血と骨」(二〇〇四年)など、在日コリアンらを描いた映画脚本で知られる劇作家・演出家の鄭義信(チョンウィシン)(58)。東京・新国立劇場に書き下ろした戯曲の三部作「焼肉ドラゴン」「たとえば野に咲く花のように」「パーマ屋スミレ」を、同劇場が三月から連続再演する。「歴史の波に翻弄(ほんろう)された名もなき人たちの物語。ヘイトスピーチが横行する今だから、在日の歴史を知ってほしい」と語る。 (五十住和樹)
「焼肉ドラゴン」は〇八年、同劇場とソウルの劇場「芸術の殿堂」で上演。一一年にも日韓両国で再演した。
初演のころは韓流ブームだったが、今は嫌韓を口にする人が目立つ。ヘイトスピーチの動画にサラリーマンや女性がいるのを見て、鄭は「普通の人たちの不満のはけ口になっているのは、時代の流れが悪い」。この三部作で、在日韓国人がなぜ日本にいるのかという歴史的な認識を持ってほしいと願う。
「焼肉ドラゴン」は大阪国際空港伊丹空港)近くの集落が舞台。執筆のための取材で、滑走路建設作業に来た在日の人たちが九州で閉山になった炭鉱から流れてきたと知る。「歴史はこんな具合に動くのかと思った」ことが、「パーマ屋スミレ」につながった。「歴史に翻弄されていった人たちの物語を演劇として記録することで、本を読むよりもっと鮮烈なものを残せる。教科書に出てこないことを演劇として記録したい」と語る。
〇七年に初演された「たとえば野に咲く花のように」は、朝鮮戦争があった一九五〇年代。二〇一二年初演の「パーマ屋スミレ」は一九六〇年代の炭鉱町を描いた。そして、大阪万博が開かれた高度成長期、七〇年代の「焼肉ドラゴン」。三部作は素顔の在日コリアンの歴史を舞台に刻む。
教師を夢見て十五歳で来日したが、戦争で夢を阻まれ憲兵になった父の半生を、鄭は「焼肉ドラゴン」に出てくる焼き肉店主に映した。憲兵だったことで故郷の祖父が仲間外れにされ、帰郷を断念した父。「『在日』は差別と偏見にまみれ、日本を憎んで、韓国に恋い焦がれて。それでも(日本を)離れられん」という店の客のせりふもある。
一方で、鄭は三部作に込めた共通の思いを「希望」だと明かす。桜が舞う中で「たとえ昨日がどんなでも、明日はきっとえぇ日になる」と明るく話す焼き肉店主。明日を信じるという鄭の強い思いがにじみ出る。
初演のソウル公演は絶賛の拍手を浴びた。その千秋楽の舞台を見た父は、鄭に「よかったな」と声を掛けた。万雷の拍手がよかったのか、自分の人生の肯定だったのか。それから一年たたずに、父は胸の内を明かさないまま亡くなったという。
◇ 
いずれも五千四百円など。三公演の通し券は一万四千五百八十円。新国立劇場ボックスオフィス=(電)03・5352・9999。
◆焼肉ドラゴン 
1970年前後、関西の地方都市にある焼き肉店の家族や客たちの姿を通して日韓両国の現在、過去、未来を描く。
●3月7〜27日(14、16、22日は休演など)
◆たとえば野に咲く花のように
朝鮮戦争のさなかの1950年代、九州の港町を舞台に、個性豊かな4人の男女の「四角関係」を軽妙に描く。
●4月6〜24日(11、18日は休演)
パーマ屋スミレ 
1960年代半ば、九州の炭鉱町で理容所を営む三姉妹と家族。炭鉱事故の後遺症に苦しむ夫を抱え、必死に生き抜く姿を描く。
●5月17日〜6月5日(5月23、30日休演)
鄭義信> 1957年、兵庫県姫路市出身。横浜放送映画専門学院(現・日本映画大学)卒業。94年に「ザ・寺山」で岸田国士戯曲賞。同年、映画「月はどっちに出ている」の脚本でキネマ旬報脚本賞などを受ける。作・演出の「焼肉ドラゴン」の初演で芸術選奨文部科学大臣賞など。山田洋次が演出し、中村勘九郎らが出演した2013年の舞台「さらば八月の大地」の脚本などでも知られる。14年春、紫綬褒章を受けた。