<金口木舌>「無書店市町村」に生まれた古書店 - 琉球新報(2024年4月23日)

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本屋が1軒もない市町村を「無書店市町村」と呼ぶらしい。2022年の出版文化産業振興財団の調査によると全国26%、沖縄は41市町村中23市町村(56・1%)が該当する
▼配送料を取らないネット書店の利用者増も影響している。フランスは書店文化を守るため、ネット書籍販売業者の無料配送を制限する法律を21年に制定した
▼書店業界の苦境が続く中、沖縄は古書店が元気だ。各地で魅力的な古書店が誕生する。「無書店市町村」の大宜味村で生まれた「山ブックス」。20日で開店から半年を迎えた
大宜味村で育った店主・崎山すなおさん(31)は広告業界勤務などを経て店を開いた。きっかけは廃校の小学校に残る本を救おうと配布イベントを企画したこと。SNSで発信すると中南部から客が訪れた
▼「本でやんばるに人が来てくれると実感した」と崎山さん。店には多くの沖縄本が並ぶ。書棚を貸し、本を売る「共同書店」の利用者も増えた。散歩がてらの地域住民、観光客と客層はさまざま。本屋が人と人をつなげ、新たな文化を育んでいる。