<ぎろんの森>憲法9条を声を出して読む - 東京新聞(2024年3月23日)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/316816

15日の社説「戦闘機輸出解禁 平和国家の理念損なう」を読んだ84歳の女性読者から本紙に意見が届きました。本欄を借りて紹介します。

「現在の日本政府のすることは、何から何まで信じられないようなことばかり。(岸田文雄内閣は)一刻も早く総辞職してほしい。政治家たるもの、日に一度は、日本国憲法第9条を熟読すべきです。
私は、毎朝起きるとすぐ、9条だけは声に出して読み、どうかこれだけは守ってほしいと願っています」
何とすてきな日課でしょう。憲法を大切に思う読者の信頼を裏切ってはならぬと、気を引き締めています。

社説は日本、英国、イタリア3カ国が共同開発する次期戦闘機の第三国輸出を、日本政府が解禁することを「戦闘機は殺傷能力が高く
国際紛争を助長するとして輸出を禁じてきた平和国家の理念と価値を損なう。再考を求める」と批判する内容です。

戦後日本は戦争の反省から憲法9条で戦争放棄と戦力不保持を誓いました。必要最小限の実力組織として自衛隊創設に至りましたが、他国に軍事的脅威を与えない「平和国家の歩み」を続けました。

殺傷能力のある武器輸出の禁止は、専守防衛非核三原則、節度ある防衛力整備などとともに、平和国家の根幹をなすものです。

近年の自民党政権では、集団的自衛権の容認に始まり、敵基地攻撃能力の保有、防衛費倍増、そして今回の戦闘機輸出の解禁と、平和国家の歩みからの逸脱が続きます。

こうしたときだからこそ、9条を読み返し、不戦の決意と平和外交に徹する意味を思い起こす必要があります。

読者の意見は次の言葉で結ばれています。「私は幸いにも物心ついたときから戦火におびえることなく生きてきました。84歳の今、平和国家の名の下に生涯を終えたい」

本欄に9条の全文を掲載しました。皆さんもこの週末、声を出して読んでみてはいかがでしょうか。 (と)