<金口木舌>何色に染まっているのか - 琉球新報(2024年2月1日)

https://ryukyushimpo.jp/newspaper/entry-2758319.html

法廷で裁判官が着用を義務づけられる法服の色はなぜ黒か。他の色には染まらず、公正を象徴するとして最適と考えられたためという。裁判所の説明にあった

▼誰におもねることなく、孤立しつつも自らの志を守る。憲法と法律にのみ拘束され、良心に従って使命を果たす孤高の人。文字通りとらえるなら裁判官にとってこれほど適した色もあるまい
▼とはいえ実態はどうか。行政訴訟でかつて国側代理人も務めた政策研究大学院大学教授の福井秀夫さんが辺野古訴訟の研究会で語った。裁判官が人事交流で法務省に出向して、主に行政訴訟を担うことがある。訟務検事という
▼その訟務検事の中にはこんな人もいたとか。「国を勝たせるのが職責ですから都合の悪い証拠は平気で隠せと。都合が悪い事実があっても、どっかで屁理屈を見つけ原告の言い分を攻撃する」
▼裁判官というアンパイアが一方のプレーヤーになるとは。「公平な裁判」が色眼鏡で見られても仕方ない。考えれば黒は別の色に染まっても見分け難い。そう皮肉りたくもなる。