<ぎろんの森>命と暮らし守り抜くために - 東京新聞(2024年1月13日)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/302519

日々の紙面をご覧になり、読者の皆さんはお気付きだと思いますが、東京新聞は今年9月に創刊140周年を迎えます。起源は1884(明治17)年に発刊した夕刊紙「今日新聞」。その後「都新聞」と改題し、「国民新聞」との合併で1942(昭和17)年10月に東京新聞=写真は創刊号=となります。

こうした経緯を4日の社説「年のはじめに考える 創刊140年『紙齢』の重み」で振り返り、かつて「戦争に突き進む軍事国家の一端を担った責任」を踏まえて「暮らしや民主主義を大切に、権力を監視する、戦争や原発への反対を貫く。暮らしや社会を少しでもよくするために役立ちたい」との決意を、年頭に当たって表明しました。

読者からは「東京新聞のぶれない基本的スタンスがきちっと書かれていた」「東京新聞を応援し、私もできることをやっていきたいと思う」との声が届きました。皆さんにはおおむね好意的に受け止めていただいたようです。

元日に能登半島震度7地震が起き、翌日には羽田空港日航機と海上保安庁機が衝突する事故が起きました。

地震では200人を超える人が犠牲となり、安否不明者も多数です。今も多くの人が厳しい避難生活を強いられています。羽田では日航機の乗客乗員は全員脱出しましたが海保機の乗員5人が亡くなりました。命と暮らしの大切さを痛感する年明けでした。

東京新聞は、一人一人の人権が大切にされ、誰も取り残されない社会を、読者の皆さんとともにつくりたいと考えています。そのために最も大切なことは、私たちの命と暮らしを守り抜くことです。

東京新聞が戦争や原発に反対するのは命や暮らしを危険にさらすからにほかなりません。自然災害も同様です。

17日には阪神大震災から29年、3月11日には東日本大震災から13年を迎えます。昨年は関東大震災から100年でした。災害から命と暮らしを守るために、新聞社に何ができるのか。どう報じ、論じればいいのか。読者の声に導かれ、よりよい報道・論説に努めたいと考えます。(と)