<金口木舌>付言、向き合ってみては - 琉球新報(2023年12月23日)

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裁判官の偽らざる本音か、それともアリバイ作りか。裁判の判決に時々見られる「付言」のことだ

今帰仁村の墓から持ち出された遺骨の返還請求を棄却した「琉球遺骨返還訴訟」大阪高裁判決の付言は話題となった。「遺骨は、ふるさとで静かに眠る権利があると信じる」という判決文らしからぬ筆致に、現行の法制度では故郷へ帰せない遺骨への思いを感じる
▼代執行訴訟の判決はどうか。国の主張を認めた福岡高裁那覇支部は末尾に「歴史的経緯等を背景とした埋立事業に対する沖縄県民の心情もまた十分に理解できる」「相互理解に向けて対話を重ねることを通じて抜本的解決の図られることが強く望まれる」と添えた
▼沖縄に寄り添う姿勢と見えるが、判決に一縷(いちる)の希望を託していた関係者はこぼす。「そこまで言うのなら県の主張を認めてほしかった」
▼とはいえ、自治体業務を国が代執行する訴訟の初判断に付言がついた意味は大きい。国の請求を全面的に認めることへの危惧の表れとも読める。政府は結論だけでなく付言にも向き合ってみては。