【政界地獄耳】岸田文雄のイライラと前官房副長官・木原誠二の不在 - 日刊スポーツ(2023年11月1日)

【政界地獄耳】岸田文雄のイライラと前官房副長官木原誠二の不在 - 日刊スポーツ(2023年11月1日)


https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202311010000024.html

参院予算委員会を見ていると首相・岸田文雄のイライラが募っているのがわかる。31日に辞表を出した法務副大臣柿沢未途の問題で午後の予算委員会は空転したのち再開し、野党の厳しい追及を受けることになった。4月に行われた東京・江東区長選で初当選した自民党衆院議員・木村弥生陣営が選挙中に出したネット広告は柿沢の提案とわかり、公職選挙法違反になりそうだ。政界では柿沢の秘書が聴取されているなどのうわさが広がり、法相も質問に追われ、首相は「任命責任を感じている」と答弁は防戦に終始した。

★また、こども相・加藤鮎子は少子化対策の財源をどう確保するかと問われ、内訳の説明で立ち往生、助けに入った厚労相武見敬三も数字が入っておらず、なんとも締まらない答弁になった。岸田内閣肝いりの政策も担当大臣がしどろもどろではどうにもならない。自民党杉田水脈・環境部会長代理はアイヌ民族在日コリアンらに対する「人権侵犯」と法務省から認定されたが、動画で「私は差別をしていない」などと主張。「このまま放置するのか」と問われ、首相は「特定の民族や国籍の人々を排斥することは許されない」と一般論でしのいだ。

★だが一番は前官房副長官木原誠二が官邸にいないことだという。現在は党幹事長代理兼政務調査会特別補佐という党の要職だが、2006年に東京・文京区の住宅で妻の元夫が死亡したことをめぐり、遺族が殺人の疑いで警視庁に告訴状を提出し、先月25日に受理された。結果はどうなるかわからないものの、木原の政治的ダメージは大きい。木原は首相が党政調会長時代からの側近で信頼も厚い。財務省出身で同省の政策的振り付けの説明を首相に丁寧に説明してきた首相の政策的ブレーンでもある。「何かの時、木原と話すなどの息抜きや安定剤のような役割がいない中、予算委員会ではこの体たらくでは」とは自民党ベテランの解説。だが国民はこのさまを見てもっとイラついている。(K)※敬称略