<金口木舌>軍事組織の「中二病」 - 琉球新報(2023年9月16日)

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中二病」というスラングがある。思春期にありがちな自意識の肥大化と客観性の欠如が引き起こす、はたから見れば首をかしげたくなる言動を揶揄した言葉だ

▼後に思い出して赤面する人も多いだろう。かっこいい言葉を使うために西洋文学にのめり込んだり、決めぜりふを独りごちてみたり。悪くはないが、ちょっと恥ずかしい
▼似たような恥ずかしさを日米共同訓練の通称名に感じる。「キーン・ソード(鋭利な剣)」「アイアン・フィスト(鉄の拳)」などなど。どんな会議で決まったのか不思議だ。公的文書にも登場する
▼10月に実施される「レゾリュート・ドラゴン」は「不屈の龍」の意。この訓練で陸自オスプレイ新石垣空港に飛来する。米軍で機体の不具合が指摘され、墜落や緊急着陸が相次ぐこのタイミングでだ。不屈ではなく偏屈な龍になってはいないか
▼多くの人は成長によって自分を客観視することで、中二病を乗り越える。しかし、日米の軍事組織は地元住民からどう見られているか客観視できないようだ。赤面、で済む話ではない。