<金口木舌>たたかれ続けても - 琉球新報(2022年4月9日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1498992.html

「ネットでバズる記事は『主張するマイノリティー』や彼らを擁護する人をたたく記事」。2020年2月、ジャーナリストの津田大介さんが沖縄で講演した際の言葉だ

▼アクセス数や広告料をかせぐために「たたく記事」が量産され「なかなかの地獄絵図だ」と津田さん。那覇軍港で訓練中の米兵が基地外の本紙記者に銃口を向けた本紙報道に関する光景と重なる
▼SNSでは「フェイクだ」との指摘や報道姿勢そのものを疑問視し「いいね」や再生数を稼いでいる。そこではやりたい放題の米軍を問題視する声は否定され「日本の敵」などと封殺するコメントが並ぶ
▼そもそも問題は銃口が向けられたことだけではない。市街地近くの基地で、米軍が事前通告もなく銃を所持し、「5・15メモ」にそぐわない場所で訓練していたことだ
▼問題含みの数々を取材し、伝え続けなければ沖縄の報道機関の役割を果たしているとは言いがたい。沖縄戦のような地獄を二度と繰り返さないためにも、たたかれ続けても主張し続ける人々と共にありたい。