【政界地獄耳】処理水海洋放出、対中関係火種に 日中友好議連の訪中計画もとん挫

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202307200000082.html

★18日、首相・岸田文雄カタール・ドーハで同行記者団に東京電力福島第1原発で生じた処理水の海洋放出計画を批判する中国に対し、「科学的根拠に基づく議論を強く求めていく」と発言した。14日にインドネシア東南アジア諸国連合ASEAN)関連の外相会議に出席した外相・林芳正と中国の共産党外交部門トップの王毅(ワン・イー)政治局員が会談。林は既に「科学的観点からの対応」を求めている。王は前日の会議でも「『核汚染水』の海洋放出は海洋環境と人類の生命・健康に関わる大きな問題だ。自分勝手に振る舞うべきではない」と批判を強めていた。

★韓国は野党を中心に汚染水問題で世論が沸騰していたが、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は新たな日韓関係を考慮し政治的に封じ込めた。その間、中国は沈黙を守っていたが、まず12日に中国香港特別行政区政府が「日本が福島放射能汚染水の放出を開始すれば東京、福島、宮城など10都県からの水産物輸入の即時禁止を行う」と発表、マカオ政府も同調した。日本は汚染水という言葉を処理水と言い換えさせメディアはすんなり同調。IAEA国際原子力機関)のお墨付きを御旗にしているが放出は日本政府による決定で「その方針を推奨するものでも、支持するものでもない」との立場だ。

★15年、政府と東電は福島県漁連に「関係者の理解なしには(処理水の)いかなる処分もしない」と言い続けているが経産相西村康稔の説明に納得している節はない。安全でも風評被害は既に始まっているという認識だろう。中国は今後この問題を対日カードに据えるようで、来月に訪中が内定していた公明党代表山口那津男の日程が白紙になっている。また会長に自民党元幹事長・二階俊博が就任したばかりの超党派日中友好議連の訪中計画もとん挫したままだ。火種は広がりつつある。(K)※敬称略