(本音のコラム) 鎌田慧さん 「歌を忘れたカナリア」 - 東京新聞(2023年5月2日)

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五月一日。メーデー。「晴れた五月の青空に、歌声高く響かせて」。若いころよく歌った。「聞け、万国の労働者」もあった。1886年五月。シカゴの労働者が「8時間労働制」を訴えてストライキ。それが世界的に広がり、いまなお続いている。

最近は「労働者の祭典」といわれているが、働く人々が集まり、未来を語り、連帯を確認しあうのは大事なことだ。ところが日本は「分裂メーデー」。全労連全労協は5月1日に別個に開き、最大組織の連合は、5月29日に中央大会開催。

「首相メーデー出席」読売新聞は三段見出し。岸田首相と並んで顔を伏せた芳野友子会長とツーショット。「(首相の出席は)大変光栄だ」と会長談話。首相に発言させた。が「立民の泉代表、国民の玉木代表も招待されたが、ひな壇には上がらず、司会による紹介のみで、あいさつする機会もなかった」。

「ひな壇には上がらず」とあるが、正しくは「上げられず」であろう。二大野党の代表が招待されながらも、発言させてもらえなかった。それでも二人が怒っている気配はない。

労働者の歴史的な集会で首相(与党代表)だけが発言を許され、野党代表の発言はなし。芳野会長は自民党大会に出席する、と物議をかもし、麻生太郎副総裁と会食したり。これが貧困化が進む、日本労働運動の現状なのか。(ルポライター