【政界地獄耳】オフレコ懇談、参加可否の論議を - 日刊スポーツ(2023年2月9日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202302090000092.html

★首相・岸田文雄の秘書官・荒井勝喜の3日のオフレコ懇談を記事にしたことの是非が問われているという。毎日新聞が書いたことで他の懇談に出ていて書かなかったメディア9社が正しくて、毎日がルール違反だという声もある。日本維新の会国会議員団副代表・鈴木宗男はブログで「荒井秘書官も気を許して話をしたことが仇になったが、人としての信頼関係、民主主義は約束は守ることを前提としており、オフレコの話が表に出るとは人間不信にも繋がる行為であり、お互い考えなくてはいけないことである。立場にある人は24時間その立場であることを頭に入れておかなくてはならない」とした。

★当日、現場にいた毎日新聞政治部記者はオフレコ懇談の内容を官邸キャップを通じて政治部に報告、本社編集局で協議し報道すべき重大な問題と判断。毎日は荒井に実名で報道する旨を事前に伝えた上で記事にした。是非論の多くはオフレコの約束を守らないことを非難するが、この場合、首相・岸田文雄のスピーチや答弁を書く荒井の人権感覚とが重ねられたこと、政局の背景や説明をするというよりも荒井の持論の吐露だったことなどが報道の分岐点になったのではないか。

★ただ全く別の見方がある。このオフレコ懇談に朝日新聞は参加していなかった。同紙はその後の荒井の釈明懇談で事態を知り記事化したという。朝日は特オチしかけた(1社だけ知らなかった)と思われているが、意図的にオフレコ懇談に参加しない判断もある。オフレコ懇談に参加すると書かないと約束してしまうことになる。書こうとしていることがあればオフレコ懇談参加は縛りにもなる。この件が該当するかは別に、そもそもオフレコ懇談なるブリーフを今後やめるか参加しないという選択肢の議論がないことが問題ではないのか。最後は既得権である記者クラブ制度議論になるが、都合のいい時だけ「書きますよ」という毎日の判断にもろ手を挙げていいのかは微妙だ。(K)※敬称略