【政界地獄耳】茨城県議選の結果が示すもの 来年は政局の年か - 日刊スポーツ(2022年12月13日)

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★来春の統一地方選挙に先駆け11日に投開票が行われた任期満了に伴う茨城県議選(定数62)の投票率は38・54%。過去最低を更新した。62人の当選者は自民35人(現有44議席)、立憲民主党2人(同2議席)、日本維新の会1人(同0議席)、公明党4人(同4議席)、共産党1人(同2議席)、国民民主党3人(同3議席)、つくば・市民ネットワーク1人(同0議席)、無所属15人(同3議席)だった。

★この選挙結果で特筆すべきは、保守王国といわれた茨城で45人の公認候補を立てた自民党が、県連幹事長・西條昌良をはじめ現職10人が落選したことだ。今まで岸田内閣の支持率は低いものの、自民党政党支持率は横ばいか微増という結果の多かった世論調査からはこの結果は予想できなかった。保守系候補は自民党から出ずに無所属で出馬したものも多く、自民党の会派入りを果たせば、議会では遜色なく感じるかもしれないが、自民党候補に投票しないという明確な民意が表れたといえそうだ。ただ野党陣営がその分伸びたわけでもなく、物価高や増税批判で野党の存在がクローズアップされたというよりは、旧統一教会問題や政治とカネの問題で立て続けに閣僚が辞任するなど岸田政権や自民党の体たらくが県民の投票行動を促したのではないか。

★無論、この流れが来春にまで続くかどうかはわからないが、政権が来年早々から旧統一教会を軸とする救済新法や、防衛費増強、増税議論などを繰り返せば、統一地方選の状況は今より悪化するだろうし、かといって野党も決め手に欠ける。事態は複雑だ。自民党政調会長萩生田光一が「全てを税で賄うとか、来年から増税が始まるという間違ったメッセージを統一地方選前に出すのは大きなマイナスだ」と発言したが、裏を返せば選挙が終わってから言えと言っている。それを国民が受け入れるかどうか。来年は政局の年になる可能性が極めて高くなった。(K)※敬称略