【政界地獄耳】暴力への対抗手段は選挙というルール守り堂々と投票に行くこと - 日刊スポーツ(2022年7月9日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202207090000137.html

 

★元首相・安倍晋三が暗殺された。この日本で参院選挙の遊説中に銃によって政治家が撃たれて死亡するという現実に日本中がショックに包まれた。野党各党は一斉に民主主義への挑戦、許されないと言い、安倍の安否を気遣った。自民党立憲民主党をはじめ各党は8日の選挙活動をとりやめ、全国で遊説中の閣僚は都内に招集された。事件発生直後から心肺停止との情報が流れ、重篤であることは国民にも分かった。

★担当医は運び込まれたときから心肺停止といい、昭恵夫人の到着を待って死亡が確認されたようだ。このショックは国民のみならず政界にも波及する。自民党幹事長・茂木敏充は「参院選の9日の活動は予定通り実施する」と発表。公明党代表山口那津男も「言論封殺をはね返してきちんと有権者に訴えていきたい」と民主主義の根幹である参院選挙でこの訃報をはね返すとした。政治家など要人がこの時期、街に出ていくことは本当に怖いと思う。だがほとんどの候補者は陣営関係者だけで警護どころか何の安全対策もない。それでも政界幹部が案ずるのは国民や政界の思考停止状態に陥ることだろう。

★ネットにはこの蛮行に乗じて「弔い選挙になるのではないか」との声も散見される。民主政治を暴力で排除しようとすることに対抗する手段は選挙というルールを守り、堂々と国民が投票しに行くことだ。民主主義を守るための行動が国民には残されている。それにこたえるために政治家は今日1日、残りの時間を日本の民主主義のために使ってほしい。政党の勝敗も大切だが、議会を守る覚悟で候補者には臨んでほしい。蛮行の背景はわからないが、民主主義を停滞させることが事件の成功になってしまう。国民もそれにこたえるべきだ。(K)※敬称略