共産党大会 共闘へ さらなる変化を - 朝日新聞(2020年1月20日)

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共産党大会が3年ぶりに開かれ、2004年以来となる綱領の一部改定や、安倍政権を打倒して「野党連合政権」の樹立をめざすとの決議を採択した。16年参院選以来の野党共闘をさらに進め、自公政権に代わる選択肢を示す狙いは明らかだ。
長期政権のおごりや緩みが次々と明らかになるなか、政治に緊張感を取り戻すことは喫緊の課題である。先の臨時国会共産党は「桜を見る会」の問題を掘り起こし、立憲民主党や国民民主党などによる統一会派と連携して存在感を示した。この勢いを次の衆院選につなげられるか、共闘の真価が問われる。
綱領改定では、「ジェンダー平等社会」の実現や「原発ゼロ」を追加。中国に対する認識を改め、「大国主義・覇権主義」への批判を盛り込んだ。
野党連携への布石という側面もありそうだが、日米安保条約の「廃棄」や自衛隊の将来的な「解消」は維持された。天皇制についても、前回の改定で「君主制の廃止」は削除されたが、民主主義や人間の平等と両立しないとの立場は崩していない。
選挙協力から、さらに踏み込んで、連立政権をめざすのであれば、国の根幹にかかわる基本政策をはじめ、幅広い施策のすりあわせは避けて通れない。
と同時に、安倍政権の暴走にブレーキをかけ、日本の民主主義を立て直すという大きな目標を見失ってはいけない。
共産党は「党の見解を政権に持ち込むことはしない」と大会決議に明記。志位和夫委員長もあいさつで「独自の政策を共闘に押しつけることは決してない」と強調した。各党がその理念や大切にする政策の旗を守りながら、現実の政治とどう折り合うか、その知恵が試される。
志位氏は閣外協力の可能性に言及したこともある。まずは小選挙区での協力態勢の構築や共通の公約づくりから、丁寧に合意を積み上げていくのが現実的ではないか。
野党勢力の間では、「非共産」といわれる、共産党を除く協力の枠組みが長く続いた。転機は安倍政権による安保法制の強行で、「1強多弱」への危機感が追い風となった。敗れたとはいえ、昨年の高知県知事選で野党各党が共産党系候補をそろって支援したのは象徴的だ。
一方で、共産党に対しては、党内の異論や少数意見が表に出にくい「民主集中制」への疑問や批判が根強く残る。開かれた党への脱皮は、「非共産」の枠を乗り越えるだけでなく、退潮傾向が続く党勢回復の足がかりにもなろう。共闘の実をあげるには、他の野党の歩み寄りも欠かせないが、共産党自身のさらなる変化が求められる。