https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202203030000043.html
★くしくも2つの組織が動き出したことを点と線で結ぶと何が見えてくるか。憲法14条にある「すべての国民は法の下に平等」を根拠に策定された新たな議席配分方法「アダムズ方式」に基づく衆院小選挙区の「10増10減」。最高裁からも違憲状態を指摘され人口比をより反映しやすく一票の格差是正を目的とした。16年に自民党、公明党が議員立法で提出、成立させた衆院選挙制度改革関連法に20年の国勢調査の結果を当てはめたら、東京など都市部の議席が増え地方の過疎地の議席が減るという、考えればわかることを自分で決めておきながらかみつきだした。
★先月28日、元総務相・石田真敏や前官房長官・加藤勝信、元官房副長官・西村明宏ら衆院自民党有志155人は10増10減の見直しを軸に超党派の選挙制度改革の与野党協議を求めている。同日、民間の立場から再生策を提言する「令和国民会議」(令和臨調)を6月に発足という会見が開かれた。「令和臨調」の共同代表にはキッコーマン名誉会長・茂木友三郎、三菱ケミカルホールディングス取締役・小林喜光、元東大総長・佐々木毅、日本郵政社長・増田寛也が就任。1990年代から衆院中選挙区の廃止や地方分権を提言してきた「民間政治臨調」や行革や憲法問題にも触れた「21世紀臨調」。政界、財界、官界、労働界、マスコミを巻き込んで改革路線を推進したあの夢をもう1度といった焼き直しともいえる。
★政界関係者は「やり方が古いが、2つの動きの目的は小選挙区制度見直しを含む選挙制度改革に伴う政界再編、そして憲法改正発議の下地作りへと進める下心が見え隠れする」と警戒する。「連合」の自民党シフトも無関係とはいえないだろう。令和型の統治システムの再編が目的か。(K)※敬称略