【政界地獄耳】自衛隊に国際救助隊サンダーバード誕生か - 日刊スポーツ(2022年2月11日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202202110000101.html

★18年11月、当時の米ドナルド・トランプ大統領は13の連邦機関を含む300人の専門家がまとめた気候変動に関する報告書「第4次全米気候評価、第2巻」について「信じない」と発言した。報告書は「温室効果ガスの排出増加を受け、米経済の分野によっては今世紀末までに年間損失額は数千億ドルに達する見通し」など経済優先のトランプが反応するように書いたが受け入れられなかった。

地球温暖化に懐疑的なトランプは、環境保護局(EPA)や航空宇宙局(NASA)、国立公園局などの政府機関に、気候変動に関する情報発信や研究を制限し、予算をカットしてきた。ジョー・バイデン大統領は昨年1月20日の就任初日、トランプ前政権で離脱したパリ協定の復帰文書に署名。あわせて前政権が施行した環境関連の規制見直しなどを関係省庁に指示する大統領令に署名した。トランプ政治の否定と共に、これが本来の米国の進むべき道との考えからだ。

★バイデン政権の気候変動対策の意気込みは国家気候担当大統領補佐官に元環境保護庁長官・ジーナ・マッカーシーを任命。元国務長官ジョン・ケリーを新ポストの気候担当大統領特使と閣僚級を据えたことでもわかるが、オースティン国防長官が就任以来、気候変動及びその影響の研究を優先事項にしたことで、クリスティン・ウォーマス陸軍長官は「気候変動は米国の安全を脅かし、我々が知っている形の戦略地政学を変化させている。山火事の消火、ハリケーンに伴う復旧支援に当たったりする兵士たちにとって、気候変動は遠い未来のことではなく、現実のもの」と発言。8日、米陸軍初の気候戦略を発表し、30年までに温暖化ガスの排出量を50%削減し、50年までに「実質ゼロ」を達成すると踏み込んだ。この分だと災害派遣に強い自衛隊の研究チームも国防省に設置されそうな勢いだ。国際救助隊(サンダーバード)誕生か。(K)※敬称略