いま読む日本国憲法(43)第69条 解散の要件定める - 東京新聞(2017年4月6日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2017040602000132.html
http://megalodon.jp/2017-0407-0939-35/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2017040602000132.html


憲法衆院解散の要件を定めているのは、六九条だけです。そのまま読めば、内閣不信任決議案の可決、信任決議案の否決時にしか解散はできないことになります。
実際は、歴代首相は有利な時期を選んで衆院を解散しています。これは、「内閣の助言と承認」に基づく天皇の国事行為を定めた憲法七条に、衆院解散も含まれていることを根拠に、首相が解散権を持つと解釈しているのです。
憲法施行後に行われた二十三回の衆院解散のうち、内閣不信任決議案の可決による「六九条解散」は一九四八、五三、八〇、九三年の四回。それ以外は「七条解散」です。
七条解散に対しては、「解散権の乱用」という批判がしばしば上がります。今年三月の衆院憲法審査会では、参考人憲法学者が「党利党略での解散を抑制するため、解散権には何らかの制限をかけていくことが合理的」と指摘しました。
自民党改憲草案は、六九条は現憲法とほぼ同じですが、五四条で「衆議院の解散は、内閣総理大臣が決定する」という条項を新設しています。これについて草案のQ&Aは、かつて閣議で解散に反対する閣僚を罷免したことがあったため、閣議にかけずに首相単独で解散を決められるようにしたと説明しています。
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「読むための日本国憲法 東京新聞政治部編」(文春文庫)をベースに、憲法の主な条文の解説を随時掲載しています。

自民党改憲草案の関連表記
内閣は、衆議院が不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。