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放映中のテレビドラマ「俺の家の話」は、伝統芸能「能」の一家の物語。元プロレスラーの長男が人間国宝の父親を介護し、父親の婚約者である若いヘルパーと恋に落ちる。破天荒な一家の主に振り回される家族のドタバタが見どころだ
▼他のドラマと違う点は、俳優がマスクを付けて演じていること。家族と接する場面はマスクなしだが、家の外ではマスク有りと使い分ける。顔が半分隠れた状態で目で演技する。俳優にとっては難しい挑戦だろう
▼関東圏のテレビ局ではニュースキャスターがマスクを着用し、一時話題になった。感染防止とその啓発が目的。視聴者からは8割が肯定的な声が寄せられているという
▼聴覚障がい者からは「口元が読み取れない」との声もあり、字幕を付ける配慮も進む。マスクは「相手が話しているかどうかさえも分からない」と困惑するのは、当事者の比嘉みゆきさん
▼比嘉さんが責任者を務める就労支援事業所「みみの木」は、透明マスクを製作した。県知事の会見時に手話通訳者も使用するなど広がりを見せ、これまで県内外で千枚以上売り上げた
▼感染防止にマスクは欠かせない。しかし困っている人もいる。その存在を知ることで、お互い気まずい思いは避けられる。コロナによるマスクの弊害を逆手に、知恵と工夫で役者もテレビ局も事業所も、ウィズコロナの時代を生きる。