<金口木舌>マスクで何を覆う? - 琉球新報(2020年4月15日)

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マスクを使っている人とおしゃべりしていると、相手の目が気になってしまう。口と鼻を覆っているため表情が分からず、自然と目を見つめてしまう。コロナウイルスのおかげで変な癖がついてしまった

▼口元が見えないだけなのに相手の気持ちがつかめず、不安になる。そこで「目は口ほどに物をいう」の格言よろしく相手の目を見るのだが、見られた方は迷惑に違いない
▼マスク姿で国会答弁に臨む安倍晋三首相はちらりと本音をのぞかせた。コロナウイルス感染拡大を受けた緊急事態宣言を踏まえ、改憲論議の高まりを期待した。首相の政治信条は、非常時のマスク程度で覆えるものではないようだ
▼コロナ禍のような国難を打開するには改憲が必要だと首相は考えているのだろうが、それを国民が優先的に求めているとは思えない。じりじりと経済的に追い込まれている人々の姿を直視することが先決のはずだ
▼沖縄で感染者数が増える中、米軍はとんでもないことをやらかした。発がん性物質PFOSを含む泡消火剤を普天間飛行場からまき散らした。地域住民はたまったものではない
▼それなのにマスク姿で現場に現れたデイビッド・スティール基地司令官は「雨が降れば収まるだろう」と言ってのけた。これには恐れ入った。住宅地を飛ぶ泡も気にならないらしい。心眼をマスクで覆っていたのだろう。