(筆洗) 江戸当時の民衆歌謡、端唄の「猫じゃ猫じゃ」の流行は文政とい… - 東京新聞(2020年11月25日)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/70420

江戸当時の民衆歌謡、端唄の「猫じゃ猫じゃ」の流行は文政というから約二百年前である。歌詞が面白い。<猫じゃ猫じゃとおっしゃいますが 猫が下駄履(げたは)いて絞りの浴衣でくるものか>
恋仲の相手と密会でもしていたか。それを誰かに見とがめられ、つい「猫じゃ猫じゃ」と無理な弁解をしたが、もちろん、猫は下駄を履かないし、浴衣も着ない。事情はバレている。
「支払っていない、支払っていない」とおっしゃいますが、通らぬ弁解だったのか。安倍前首相側主催の「桜を見る会」の前夜祭の会費問題である。
都内の高級ホテルでの飲食付きのパーティー安倍氏側は会費について、すべて参加者の自己負担と説明していたが、安倍氏側が一部を補填(ほてん)していた可能性を示すホテル側の明細書が出てきたと報じられている。
明細書によれば、ホテルへの支払額が会費の総額を上回っているという。合わぬ勘定は数百万円。事実なら、有権者への政治家の寄付行為であり、公選法に触れる。
安倍氏の公設第一秘書らが東京地検特捜部から任意で事情聴取されたと聞く。捜査を待つが、首相当時、国会で「補填したという事実は全くない」と答弁していた。時の首相が国民に平然と、「猫じゃ猫じゃ」を歌ったのだとしたら、こちらも怒声と泣き声で合いの手を入れる。<おっちょこちょいのちょい、おっちょこちょいのちょい>