[大弦小弦]自信満々で間違う政権 - 沖縄タイムス(2020年7月22日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/604388

国の観光支援事業「Go To トラベル」を取材していた同僚が先週、「キャンセル料を巡り混乱が起きている」と聞き込んできた。支援から除外された都民が沖縄旅行をやめる際、キャンセル料を払わされると

▼国が途中でルールを変えたつけを、市民が負担するなんておかしい。国の対応を確認すると官房長官国交相がキャンセル料を補償しない考えを示しており驚いた

▼案の定、批判を受け補償へ方針転換した。既視感がある。新型コロナ対策の国民への10万円給付も、国は否定していた。野党や市民に批判され、連立相手の公明にねじ込まれ、あの時も方針を変えた

▼この政権は市民が何を望んでいるか、全く理解していないとしか思えない。今回も公明が補償を提言したが、そもそも旗振り役の国交相が公明議員。「ブレーキ役を果たした」と言えない

▼ころころと方針を変える朝令暮改は、企業経営では発想の柔軟性と評価されることも。安倍政権は優劣付けがたい案の選択に悩むのではなく、市民感覚に欠ける方針を自信満々に打ち出すから困る

▼語呂が似た故事に朝三暮四がある。サルに木の実を朝三つ、夕四つ与えたら怒った。朝四つ、夕三つにしたら喜んだ。小手先ではぐらかす意味がある。桜を見る会で「募ったが募集してない」と珍答弁した首相に、こちらも当てはまる。(吉田央)