(政界地獄耳) 一連のシグナルは中止でなく延期? - 日刊スポーツ(2020年3月14日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202003140000125.html
https://megalodon.jp/2020-0314-1111-36/https://www.nikkansports.com:443/general/column/jigokumimi/news/202003140000125.html

★偶然ではないだろう。まず、IOCの古参委員・ディック・パウンドは東京オリンピック(五輪)の中止ないし延期を早々に指摘。発言時には違和感を持って伝えられたし、ほかの委員の否定的な発言も聞こえたが、その後、今月11日には東京オリパラ組織委員会理事で電通元専務の高橋治之がウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューという形で「1、2年延期するのが現実的」と言い出した。この発言に同委員会会長・森喜朗は即座に「とんでもないことをおっしゃった」と否定してみせた。だがこの発言のシグナルは中止ではなく延期ということだ。

★05年8月。森は首相・小泉純一郎のいる首相公邸を訪れ、解散総選挙に突入しようとする小泉を思いとどまらせる工作に出る。世に言うミモレット騒動だ。会談後、森は記者団に「干からびたチーズ一切れと缶ビールしか出さなかった。俺もさじ投げたな。あれ(小泉)は『変人以上』だ」とチーズを片手に不快感をあらわにした。森の役者ぶりが発揮された瞬間だ。政界へのシグナルは「小泉は本気だ」ということ。役者が一枚上の森の一芝居だが、小泉との演出だったと後に白状している。

★スポンサー企業と組織委、そして仲介料が1割ともいわれる電通がカネの整理をしたということか。高橋を使いスポンサー筋を安心させながら予断を許さない緊張を与える。アスリートファーストははるかかなたに消えた。都知事小池百合子が12日に唐突に官邸入りして首相・安倍晋三と連携をアピール。その日の晩には米国トランプ大統領が1年延期を言い出す。役者の規模が大きくなった15年前のミモレット騒動の再演といったところか。政治的には「延期」でいいかもしれないが、ウイルスの拡大・拡散は防げるかは別の問題だ。これらも一過性の演出であり時間稼ぎでしかない。(K)※敬称略

 

関連)

東京五輪、今夏断念なら1~2年延期も 組織委理事 - ウォール・ストリート・ジャーナル日本版(2020年3月11日)

https://kodomo-hou21.hatenablog.com/entry/20200311/1583907227

五輪延期報道ウラ読み:電通元専務の唐突な出現と森喜朗氏の怒り - アゴラ(2020年3月12日)

http://agora-web.jp/archives/2044791.html