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★首相・安倍晋三は新型コロナウイルス対応のため、野党各党と会談した。首相は「緊急事態宣言」を発令できる法案に賛成を野党に求めたが、国民へ向けた会見でも具体策は示さず、質問にも答えずに逃げるように去った首相はまず国民に緊急事態宣言の必要性や範囲を丁寧に説明してから野党党首に相談すべきではなかったか。まして今は国会開会中で審議の中で議論できなかったのか。12年に民主党政権で成立させた新型インフルエンザ等対策特別措置法。当時、公明党が賛成、共産、社民は反対。自民党は欠席した。
★同法をなぜ運用して事態に当たらないのか、国会でも質問されたが要領を得ない答弁に終始した。今回政府は「コロナウイルスとわかっているので新型インフルエンザではない」(厚労相・加藤勝信)、「対象となる感染症の種類が異なる」(首相)などの理由で新型インフルエンザ等特措法は使えないと言い張った。民主党政権が作り自民党が賛成しなかった法律は使えないということか。だがこの法律は根拠法を精査して国民の生命及び健康を保護し、生活や経済への影響を最小にすることを目的に制定された。首相が緊急事態宣言を発すると、具体的な「要請」を出すのは都道府県知事になっていて各地の実態に即した施策が可能となる。ところが首相はこれを改正し、準戒厳令の施行を目指している可能性が濃厚だ。
★確かに同法は運用によっては個人の自由や権利の制限が可能になり基本的人権が脅かされる危険がある。非常事態の定義があいまいで拡大解釈される危険もある。そのため同法第5条に「国民の自由と権利の制限は必要最小限のものでなければならない」と規定している。また、当時“野党・自民党”の要求で緊急事態宣言を恣意(しい)的に行わないことなどを求める付帯決議が衆参の内閣委員会で付けられている。ここまで安全装置がつけられている法律を否定するのは首相の強権発動を可能にすることが念頭にあるのではないか。野党各党の見識が問われる。(K)※敬称略