[大弦小弦]政府要請、春の嵐に - 沖縄タイムス(2020年3月3日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/542041
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江戸中期の俳人、大島寥太(りょうた)の〈世の中は三日見ぬ間に桜かな〉。桜が一気に咲く情景を詠んだ句は転じて、世の中の移り変わりが激しいことのたとえにも使われる

▼今の世は3日と言わず日々、唐突な政府要請に振り回されている。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、安倍晋三首相が要請した小中高校、特別支援学校の臨時休校措置。県
内でも2日から先行して、9市町村の小中学校が休校に入った

▼子どもの居場所や過ごし方をどうするか。働く親にとって切実だ。自宅で過ごすことが難しい小学低学年児童の学校受け入れを決めた自治体もある

▼受け皿の一つとなる放課後児童クラブ。南風原町の「キッズクラブカナカナ」はこの日、朝8時半に開所した。27日の発表から中3日。職員の勤務シフトを組み直し、小5までの2
5人ほどを預かった。感染予防のために検温を日2回にし、室内のアルコール消毒も徹底する

▼代表の仲本かなえさん(39)も3児の母。「子どもや家庭を支えたい」との思いで寄り添う。ただ異例の長期休みに、野外活動はどこまで許されるのか、感染予防は十分なのかと戸
惑いが多いと明かす

▼安倍首相は会見で「ご理解」や「お願い」を繰り返した。社会を覆う不安を拭うには程遠かった。説明を尽くさねば、ウイルス禍による春の嵐は収まらない。(大門雅子)