[大弦小弦]続・ブロックされていた - 沖縄タイムス(2020年2月24日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/538580
http://web.archive.org/web/20200224004951/https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/538580

私がツイッター河野太郎防衛相にブロックされていることを、本紙を含む4紙と週刊誌が報じた。それ自体は個人の小さな経験でも、政策決定者の河野氏が好き嫌いで主権者多数への情報を遮断している問題に焦点が当たって良かった。
試みにツイッター上でブロックされた人を探すと、1日だけでおよそ700人が名乗り出てくれた。自民党支持という人も「防衛相のツイートが見られず国民として不安です」
河野氏は会見で「誹謗(ひぼう)中傷はブロックしている」と説明した。だが、誹謗中傷は「根拠のない悪口を言って相手を傷つけること」。権力に歯止めをかける批判とは違う。
辺野古新基地の工費が膨らんだ責任を、河野氏が県の抵抗に転嫁したことがある。私は強盗の開き直りに例えてツイートした。沖縄の宝の海を強奪するさなかの厚顔ぶりを表現したかった。
SNSの普及で、既存メディアの「客観報道」の看板の裏にいた記者の個性がきっと見えやすくなっている。一人一人が違う目で物を見て、質問を発し、記事を書いていることも伝わる。前向きな変化だと思う。
識者や街の声を借りて、自ら語らない客観報道は、受け手の心に響かなくなっている。SNSでも記事でも同じ。伝える責任と覚悟を引き受け、当事者になることを恐れず、正直に公平に、書く努力を続ける。(阿部岳)