桜を見る会疑惑 どこまで居直るのか - 東京新聞(2020年2月1日)

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桜を見る会」を巡る疑惑について、衆参両院の予算委員会での野党側の追及が一巡した。際立ったのは、矛盾を覆い隠して問題なしと居直る政権の姿勢だ。これでは、疑念は何も解消されない。
すり替え、はぐらかし、開き直り-。安倍晋三首相が、国会で一問一答形式の質疑に応じるのは昨年十一月の臨時国会以来二カ月半ぶりだが、桜を見る会を巡る不誠実な答弁は相変わらずだった。
最大の問題は、公金を使って首相が多数の支援者を接待していたことだろう。第二次安倍政権下で参加者は急増し、昨年の約一万八千人は二〇一〇年の民主党政権時の二倍超。官邸・与党の招待者が半数以上を占め、自民党総裁選があった一八年には同党の地方議員らが多数招待されていた。
首相は「長年の慣行」「曖昧な招待基準」が原因で「歴代内閣でも地元の方々の出席はあった」と主張。さらに招待者を最終的に決めるのは内閣官房内閣府だと強弁した。責任転嫁も甚だしい。
山口県の首相の地元事務所は支持者に参加申込書を送り、複写すれば誰でも申し込みができるようにしていた。内閣府が決めた締め切りを遅らせたり、申込者には招待決定前に参加案内を送ったりと、私物化そのものだ。これに対して、首相は参加者を「幅広く募ったが、募集ではない」と言い張る。新聞広告を出すような形態ではなかったと言いたいらしいが、はぐらかしでしかない。
これまでの野党追及では、公文書管理のずさんさも明らかになり一一~一七年の招待者名簿管理に公文書管理法違反があったとして内閣府の歴代人事課長が処分された。しかし、菅義偉官房長官民主党政権時に始まった扱いを踏襲したと平然と言い放った。この政権には保身の発想しかないのか。
野党側は、招待者名簿のデータを削除したというパソコンの履歴(ログ)、政治資金規正法違反が疑われる首相後援会主催の前夜祭に関するホテル側の明細書や領収書も提示するよう求めている。応じれば政権側の言い分の裏付けになるはずだが、拒むから疑惑は強まる。拒否理由もあいまいで、開き直りにしか聞こえない。
桜を見る会を巡る疑惑は、行政の公平性を揺るがす重大な問題だ。首相自ら解明し、わびるべきはわびて責任を負う姿勢に転じなければ、国民の理解はこの先も得られまい。政策論争を置き去りにしているのは政権側だと、まずは自覚すべきである。