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首相主催の「桜を見る会」の招待者選考について、安倍首相がきのうの国会で自らの関与を認める答弁をした。従来の説明と食い違っており、これでは首相の言葉をどこまで信用していいのかわからなくなる。
この会をめぐっては、連日のように新たな疑問や不審点が明らかになっている。首相は野党の求める予算委員会の集中審議に応じ、真相を包み隠さず、語らなければいけない。
首相はこれまで「招待者のとりまとめには関与していない」と明言してきたが、きのうの参院本会議では、自らの事務所が幅広く参加者を募っていたことを知っていただけでなく、「私自身も相談を受ければ、意見を言うこともあった」と述べた。
先の説明は、内閣府などが行う招待者の最終的なとりまとめには関与していないという趣旨だったとして、野党が批判する「虚偽答弁」には当たらないと弁明したが、その言葉を誰が素直に受け止めよう。
「関与せず」答弁の後、首相の事務所が、この会を含む観光ツアーの案内を地元有権者に配っていたことが発覚したため、答弁の修正を迫られたのではないか。追い込まれないと、本当のことを語らない。真相を小出しにする。安倍政権でこれまでも繰り返されてきた、不誠実きわまる対応だ。
きのうは菅官房長官が、招待客の推薦者別の内訳を明らかにした。首相は約1千人、自民党関係者は約6千人だった。首相の妻の昭恵氏からの推薦もあったという。森友問題で昭恵氏の関与が取りざたされた際、首相は「妻は私人」とかばった。私人である夫人の関与で、首相による会の私物化の疑念は、一層強まったと言わざるを得ない。
会の前夜に都内の高級ホテルで開かれた後援会の懇親会をめぐる首相の説明も、額面通りには受け取れない。野党が安すぎると批判する1人5千円の会費はホテル側が設定したというが、それを証明する明細書などは一切示されていない。
後援会主催の行事と認めながら、参加者が直接、ホテルに会費を支払ったとして、政治資金収支報告書に記載しないのは、政治資金の流れを透明にするという政治資金規正法の趣旨を骨抜きにする行為ではないか。
招待をめぐっては、自民党が今年1月、夏の参院選で改選を迎える所属議員に対し、後援会関係者らを4組まで招けるとした案内状を送っていたことが判明した。首相の地元の山口県下関市では、自民系の市議だけを対象に、友人・知人を含む誘いがあったとされる。会が事実上の選挙対策に利用されていたとしたら、悪質というほかない。