(政界地獄耳) やり放題総裁選、利用するせこさ - 日刊スポーツ(2019年11月16日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201911160000127.html
http://archive.today/2019.11.16-002913/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201911160000127.html

★野党が「桜を見る会」の追及チームを格上げして追及本部にし、人数も11人から3倍規模に増員するという。やる気満々だが、いろいろと重箱の隅をつついただけで、首相・安倍晋三は「関与していない」の一点張りで逃げ切るようでは意味がない。国民からすればふんだんに材料があった森友・加計学園疑惑ですら追い込めなかった野党に何ができるのかという疑念や心配もあるだろう。

★ところが、今の官邸に野党の攻勢を突っぱねる腕力も知恵もない。当初から「民主党時代もやっていた」という首相お得意の「民主党比較」も今回は功を奏さない。追い込みをかける立憲民主党国対委員長安住淳ロッキード事件になぞらえて「山口(県)ルート、宴会ルート、役所ルート、芸能界ルート。徹底的に洗って質疑に反映させていく」としている。政界関係者が言う。「森友・加計疑惑のような分かりやすい構造ながら情報管理の壁に阻まれて、いわば官僚が疑惑から守った構図だったが、今回はそのほとんどが公開情報。ブログを慌てて削除している閣僚ら首相側近の狼狽(ろうばい)ぶりも拍車をかける」という。加えて官僚たちも潮目を見極めれば、破棄したはずの資料もぽろぽろ出てくるだろう。

★一方、昨年の桜を見る会からその異常性が発揮されたという指摘がある。「自民党総裁選挙で3選がかかっていた首相は桜を見る会で大盤振る舞いをすることで支持者の取り込みを図った」というのだ。地方議員や地元の後援会を連れていくことで票固めとは税金を使った一見合法的なようなせこいやり方。総裁選挙は選挙法に触れずやり放題なところを利用したのだろうが、その総裁が自動的に首相になると思うと随分とお手軽な手法で首相の座を手に入れた薄っぺらい話になってくる。自民党は首相を守り切れるのか。逃げ切る策は尽きたようにも見えるが。(K)※敬称略