https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2019091802000149.html
https://megalodon.jp/2019-0918-1059-11/https://www.tokyo-np.co.jp:443/article/column/ronsetu/CK2019091802000149.html
選挙制度に一長一短があるのは確かだ。しかし、党利党略と批判されていた制度を放置していいわけはない。七月の参院選から導入された比例代表の特定枠のことである。
この制度は自民党のごり押しで始まった。「一票の不平等」是正のために「合区」された「鳥取・島根」と「徳島・高知」両選挙区で公認に漏れた候補者を比例で救済する狙いがあり、議席維持の党利党略と批判された。
しかし、悪評高い制度を逆手に取った人がいた。れいわ新選組の山本太郎代表。特定枠に筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の舩後靖彦氏と重度障害者の木村英子氏を擁立し、自らへの百万近い票も加えて当選させた。
二人の当選で国会ではバリアフリー化が進み、社会を変える力に確実になっている。山本氏の選挙戦術はお見事と言うほかない。
とはいえ、それと選挙制度の妥当性とは別の話だ。れいわの二議員当選を「是」とするなら、特定枠を使った自民党の救済策も同様に容認されなければ、つじつまが合わない。
参院の選挙制度は抜本改革が必要とされながら、部分的な手直しの繰り返しで、複雑化している。衆参ともに選挙区と比例代表からなる似通った選挙制度となり、幅広い民意が反映できるのか、という指摘もある。
民意を正確に反映し、社会の幅広い代表が集う国会にするには、どんな制度が適切か。思考停止に陥ってはならない。 (豊田洋一)