参院選高良氏当選 新基地反対は揺るぎない - 琉球新報(2019年7月22日)

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新基地建設に反対する強固な民意が改めて示された。
参院選沖縄選挙区(改選数1)は「オール沖縄」勢力が支援した無所属新人の琉球大名誉教授・高良鉄美氏(65)が、自民新人のシンバホールディングス前会長・安里繁信氏(49)=公明、維新推薦=に大差をつけて初当選した。
最大の争点は、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古での新基地建設の是非である。高良氏は反対を前面に打ち出し「辺野古を埋め立てなくても普天間基地は閉鎖・撤去できる」と訴え、新基地建設は東アジアの緊張緩和に逆行すると主張した。
これに対し安里氏は「反対の民意と、埋め立て承認の法的瑕疵(かし)がないという二つの事実がある」として、賛否を明確にしなかった。
とはいえ、安里氏を公認した自民党は、普天間飛行場辺野古移設を着実に進めると公約しており、2人の立場の違いは鮮明だった。
昨年9月の県知事選で玉城デニー氏、今年4月の衆院3区補欠選挙で屋良朝博氏、そして参院選で高良氏と、新基地建設反対を掲げた候補者が立て続けに当選した。2月の県民投票では投票者の7割超が埋め立てに反対している。
今回の参院選は駄目押しとも言える結果だ。これ以上、民意を無視した埋め立てを続けることは許されない。
政府に求められるのは辺野古固執する頑迷な姿勢を改めることだ。今度こそ、沖縄の声に真剣に耳を傾け、新基地建設断念へと大きくかじを切ってほしい。県内移設を伴わない普天間飛行場の返還を追求すべきだ。
国土の0・6%にすぎない沖縄に全国の米軍専用施設面積の7割が集中する現状は異常そのものだ。米軍基地から派生する事件、事故は後を絶たず、軍用機の騒音は我慢の限度を超えている。
取り組むべきなのは基地を減らしていくことであって、最大2兆6500億円(県の試算)もの国費を投じて新たな基地を造ることではない。
沖縄に上陸した米軍が、広大な土地をいやも応もなく奪って飛行場を建設した。元々は集落が点在する農村地帯だったのである。普天間問題の原点はここにある。
これを返還させるのに、どうして新たな基地を造らなければならないのか。政府は、占領された側の視点ではなく、占領者の視点で沖縄を捉えている。沖縄の目線に立てば、その理不尽さは明らかだ。
自民党が擁立した安里氏が、党の公約である辺野古推進を打ち出さなかったことも、米軍基地を巡る複雑な県民感情を象徴している。
沖縄の選挙区選出国会議員は衆院4、参院2の6人。このうち5人は玉城知事を支持する「オール沖縄」系だ。
高良氏の当選は、玉城知事の信任をも意味する。知事は、厚みを増した反対の民意をバックに、粘り強く政府との交渉に臨むべきだ。