<金口木舌>アウティング - 琉球新報(2019年7月19日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-956082.html
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ズボンを着用した女子生徒を取材先で見掛けることがある。県立高校で制服選択制が広がりつつある。一方でLGBT(性的少数者)への偏見や差別は根強い

▼同性愛などの性的指向性自認を本人の了解なく第三者に漏らす「アウティング」の禁止を定める職員向けマニュアルなどを作成している都道府県、政令市は全国の1割にとどまっていることが共同通信の調査で分かった。沖縄県もマニュアルがない
▼2015年に一橋大法科大学院の男子学生が、同性愛者だと同級生に暴露された後に転落死した。一橋大がある東京都国立市は18年、アウティング禁止を盛り込んだ条例を全国で初めて施行した
▼県内自治体では那覇市性的少数者のパートナー制度を導入し、浦添市は「性の多様性を認め合うまち」を宣言している。性的少数者の人権を尊重する動きが広がるが、当事者が命の危険を感じることのない社会への道のりは遠い
▼レインボーハートプロジェクトokinawa代表の竹内清文さんは本紙連載「レインボーハート」で、知人2人を自殺で亡くしたことを明かしている。「一人一人が正しい知識を持ち、当事者が差別や偏見を恐れたり、命を絶とうと思ったりしない環境をつくっていくこと」を呼び掛ける
▼多様性について知り、認め合うことが、誰もが生きやすい社会をつくることにつながる。