【私説・論説室から】米が選ばないF35を爆買い - 東京新聞(2019年6月12日)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2019061202000178.html
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航空自衛隊の最新鋭戦闘機「F35A」の墜落事故から二カ月が経過した。
飛行記録装置は引き揚げたものの、壊れていて記録媒体はみつからず、事故原因の特定にはつながらなかった。
それでも政府は百五機のF35を米国から「爆買い」する方針を変えていない。
その米国は今年三月、衝撃的な決定をした。来年度からの五年間でF15EX戦闘機を八十機調達すると発表したのだ。
なぜ、最新鋭のF35ではなく、四十年以上も前に開発されたF15なのか。
ダンフォード統合参謀本部議長は上院軍事委員会で「機体価格でF15EXは、F35と比べ、少し安い程度だが、維持管理費はF35の半分以下、機体寿命はF35の二倍以上である」と明快に説明した。
一方、米会計検査院はF35について、昨年指摘した深刻な欠陥が改善されておらず、今後数年解決しない問題もあると発表した。
トランプ大統領が米軍によるF15EXの調達や米会計検査院の指摘を知らないはずがない。それでも安倍晋三首相にF35を売り込むトップセールスを続け、日本はこれに従った。百五機の購入費は安く見積もって一兆二千億円。トランプ氏の望み通り、対日貿易赤字は削減されるだろう。
日本の戦闘機の選定基準で、国防の観点や操縦士の安全は何番目なのか。 (半田滋)