丸山氏、糾弾決議 国民代表の資格はない - 東京新聞(2019年6月7日)

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全会一致での糾弾決議を重く受け止め、自ら議員を辞職するべきである。北方領土を戦争で奪還する旨を述べた丸山穂高衆院議員。戦争放棄憲法に反する発言であり、国民の代表たり得ない。
丸山氏への糾弾決議がきのうの衆院本会議で全会一致で可決された。丸山氏は北方領土へのビザなし交流訪問団に参加した際、現地で酒を飲みすぎ、団長の大塚小弥太さんに「戦争でこの島を取り返すことは賛成ですか反対ですか」「戦争をしないと、どうしようもなくないですか」などと発言。大声を張り上げたり、品位のない卑猥(ひわい)な言葉を発するなど多大な迷惑行為をした、という。
糾弾決議は一連の言動を「憲法の平和主義に反する」「議員としてあるまじき数々の暴言」などと指摘。「わが国の国益を大きく損ない、衆院の権威と品位を著しく失墜させた」「国会議員としての資格はないと断ぜざるを得ない」として「ただちに自らの進退について判断するよう促す」内容だ。
奪われた領土は戦争で取り戻すしかないとする発言内容は、自衛目的以外の武力の行使を禁じた国際法上認められず、憲法九条の戦争放棄と、九九条の国会議員の憲法尊重、擁護義務にも反する。
丸山氏の発言は到底、容認できず、国会議員たる資格を満たしているとは言い難い。糾弾決議に法的強制力はないが、丸山氏は速やかに、自ら辞職すべきである。
丸山氏は言動の不適切さを認めながらも「憲法九条や九九条違反だというのは飛躍のしすぎ」「出処進退は、最終的には選挙での有権者の判断によるべきもの」として辞職しない考えを示している。
辞職を拒み、衆院議院運営委員会の聴取にも応じない丸山氏の態度は、代表を送り出す国民の立場としてはとても納得できない。
議員の当落を決めるのは選挙だとしても、選挙の際に想定されない言動があれば、その都度、議員の資格を問われて当然だ。
国会議員の地位は重い。所属する院で三分の二以上の賛成がなければ、議席を失うことはないとしても、国民の代表たる資格を有しているとは到底思えない議員を放置していいわけはない。
国会としては、多数派による少数派抑圧に悪用されないよう留意しながら議員辞職をより強く迫る方策を模索すべきでなかったか。
日本維新の会は丸山氏を除名したが、単に切り捨てるのではなく議員辞職を粘り強く説得するのが公認した政党の責任でもある。