<南風>ワッターのリズム刻む - 琉球新報(2019年5月6日)

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歴史好きでちょっと変わった同い年の友人がいます。数年前、彼が急に私に問題を出しました。「植民地支配で最初に奪われるものは何だと思う」「言葉」と私は答えました。沖縄と日本の関係はよく「植民地主義」という言葉で語られるようになりましたが、「方言札」に象徴的なようにウチナーグチ等の言語が否定されてきた歴史が思い浮かんだからです。
彼は「自分は暦だと思う」と言いました。彼の説明は以下のようなものでした。植民地では、支配する側の都合のいいように政治、経済を変えられてしまいますが、暦はその社会の農業や漁業、祭祀(さいし)や生活と深く関わりがあります。都合のいいように変えるために、まずは時間の刻み方、リズムを崩すのだという説でした。
面白い説だなと思いました。沖縄もリズムを崩されているかもしれないとその時、はっとさせられたのを覚えています。今、平成から令和へ元号が変わり話題となっています。元号、この時間の刻み方ってワッターのリズムかしらと、冒頭の友人とのやりとりを思い出したのでした。
大事な人の命日や記念日など、個人のリズムも大切です。それに加え、ひとまず私は旧暦や年中行事を大事にしようと思っています。今年の浜下りでは、家族や友人と浜に出かけ、貝をとりました。
毎年、冬になるとこんな光景も見かけます。「ムーチービーサだね」「やっぱり旧暦が当たっているね」となぜかうれしそうに話す人々。旧暦はまだまだ愛されています。もっともっと愛しましょう。
ここ数年、旧正月前に手帳を変えています。その時に、薄くて軽い旧暦の入った手帳が見つからず、困っています。メーカーさん、薄くて軽い旧暦の入った手帳の発売よろしくお願いします。(玉城福子、大学非常勤講師)