<金口木舌>消える平成、消えない思い - 琉球新報(2018年12月31日)

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もうすぐ2018年が終わる。新年に備え、カレンダーを取り替えた。いくつかをめくると、今年まで見掛けた平成の文字が消えていた

▼平成で思い浮かぶのは故小渕恵三氏。官房長官として元号を発表し、歴史的な場面は今もテレビなどで紹介される。2000年開催の沖縄サミットを決めた首相としても知られる
▼1995年の少女乱暴事件後、沖縄では基地撤去の声が強まる。米国は沖縄開催に難色を示した。候補地のうち、条件面で最下位だったが、小渕氏の強い思いで実現したと故野中広務氏が証言している
▼学生時代に復帰前の沖縄を何度か訪問し、後に「沖縄は第二の故郷」と発言した。米軍普天間飛行場の県内移設という政府の従来姿勢を崩さず、その評価は分かれるが、沖縄への思いが強かったのは確かだ
特定秘密保護法、安全保障関連法、「共謀罪」法…。平成の幕引きが近づく中、安倍政権は人権に関わる法案を次々と押し通した。沖縄への思いは感じられない。新基地建設を強行し、土砂投入で名護市辺野古の海を消そうとしている
▼暦から平成は消えるが、歴史は消えない。新基地建設の中断を求める米大統領宛ての署名は30日現在、17万1千筆を超えた。沖縄への思いは形を変え、世界に広がる。1年の締めくくりだけでなく、30年間を見詰め直す。ことしはそんな夜を過ごすのもいい。