<金口木舌>時代の流れに翻弄されて - 琉球新報(2019年4月4日)

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〈唐(とう)の世からやまとの世/やまとの世からアメリカ世/ひるまさ変わたる/くぬうちなー〉。嘉手苅林昌さんは「時代の流れ」で施政者にほんろうされる沖縄をうたった

▼中国の冊封体制に入っていた琉球王朝時代は主に中国の元号を用いたが、琉球併合で中国の元号は禁止された。米施政権下では西暦が日常だった
▼新聞も時代の変化に対応する。日米間で日本復帰の時期に向けた協議が進む中で1968年1月13日付の琉球新報の紙面は、それまでの西暦だけの日付から「昭和43年」と元号との併記に切り替わった
天皇代替わりに伴う改元に先立ち、平成の次が「令和(れいわ)」と決まった。従来は中国古典から選ばれたが、初めて日本の古典の「万葉集」が出典となった
▼新元号の発表で、安倍晋三首相は「文化を育み、自然の美しさをめでることができる平和の日々に心からの感謝の念を抱きながら、希望に満ちあふれた新しい時代を、国民の皆様と共に切り開いていく」と決意を述べた。元号が「日本人の心情に溶け込み、日本国民の精神的な一体感を支えるものともなっている」とも語った
▼79年の元号法制化で全都道府県議会のうち沖縄県議会だけは推進決議をしなかった。天皇制と不可分の元号、「一体」となれない複雑な感情が交錯した歴史を踏まえれば、政権主導の「改元フィーバー」には違和感をぬぐえない。