<南風>宝島沖縄を汚さないで - 琉球新報(2019年4月1日)

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美しい海に囲まれた、琉球時代から受け継がれてきた宝島沖縄を汚してはならない。
民意が公然と無視され続けている沖縄。青く澄み切った宝の海が赤い血の色の土砂で埋め立てられているありさまは、理不尽としか言いようがない。愚かしさにあきれてしまう。
2月24日の県民投票で、投票者の72%が辺野古の海の埋め立てに反対した。にもかかわらず工事が続けられている。公然と民意を無視する国のあり方にあきれ、やる方ない怒りを感じている。
辺野古の問題は大田昌秀知事の時代、1996年のSACO合意を受けて始まった。それから時を経て、2代前の知事が辺野古の埋め立てを承認させられた。その後、県民は選挙で何度も反対の意志を示したが、国は無視してきた。
だから、今回改めて沖縄の民意を問うために県民投票が行われたのである。国はこれ以上民意を無視できないはずだ。自分の人生で今ほど理不尽さを感じたことはない。
「右を向けと言われれば右に向き、死ねと言われれば死ぬ、そんな私にはなりたくない」。作家の中村敦夫氏がそう言われた。教育勅語を唱えた八、九十年前の時代ではない。議員バッジを着けた人たちは、何を考えて沖縄をまたもやあの忌まわしい「日本」にしようとしているのだろうか。沖縄を、琉球を、いったい何度「処分」すれば気が済むのだろう。
私は沖縄をこよなく愛している。移住して四十数年になる。美しい海と自然とに包まれた人びとの優しさ、豊かな文化や音楽に魅せられ、あっという間の年月だった。私はこれからも沖縄を愛し続ける。私は沖縄と結婚したと思っている。愛するもののために、静かに叫び、闘い続けたい。平和な海を取り返すために。
木村浩子 歌人、画家)