[衆院沖縄3区補選]辺野古を正面から問え - 沖縄タイムス(2019年3月28日)

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選挙の際、辺野古を封印し、態度を明確に示さないことによって辺野古の争点化を避けてきた自民党が、昨年9月の知事選大敗を受け、戦術を転換した。
普天間飛行場の危険性を一刻も早く除去するため、苦渋の選択だが容認せざるを得ない」
自民党公認公明党が推薦する元沖縄担当相の島尻安伊子氏(54)は、26日に政策を発表し、普天間飛行場辺野古移設計画を「容認」する考えを正式に表明した。
オール沖縄」勢力が推すフリージャーナリストの屋良朝博氏(56)は、玉城デニー知事の衆院3区の後継者として、国の姿勢を批判する。
「強引な埋め立ては本当に沖縄のためになっているか。そうじゃないという声を結集し、対立軸を明確にしたい」
両氏は、めざす方向は180度異なるが、辺野古問題との縁が深い。
島尻氏は普天間の県外移設を公約に掲げて当選し、当選後に公約を撤回した。国会で住民の反対運動を批判するなど、その姿勢が官邸に評価され、重用されてきた。
新聞記者として基地問題に取り組んできた屋良氏は、退職後も講演会やシンポジウムに積極的に参加し、辺野古埋め立てを伴わない普天間返還プランを提言してきた。
軟弱地盤の大がかりな改良工事によって、新基地建設の長期化が明らかになった。この時期に、辺野古を巡って議論を深め、論点をはっきりさせることは、極めて大きな意味を持つ。

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辺野古問題が争点だという場合、避けて通れないのは、県民投票の結果と政府の対応に対する評価である。
岩屋毅防衛相は、県民投票後に国会で、結果にかかわらず工事を進めることを県民投票の前に決めていた、と平然と言ってのけた。
安倍晋三首相は、県民投票の結果を「真摯(しんし)に受け止める」と言いながら、玉城知事の中止申し入れを拒否し、新たな区域への土砂投入にゴーサインを出した。
ジュゴンの死が確認されたため、日本自然保護協会は工事の即時中断を求める意見書を公表したが、専門家の声も無視された。
本島北部海域で確認された3頭のジュゴンのうち残る2頭も行方不明のままだ。
このような政府の姿勢をどう評価するか。地方自治や民主主義、県民の尊厳をどう考えるか。立候補予定者は明確な言葉で、自身の見解を明らかにしてもらいたい。

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海兵隊トップのネラー司令官は26日、官邸で安倍首相に会い、辺野古の工事現場を視察したことを明らかにした。 新たな区域への土砂投入は、司令官の視察を意識したセレモニーだったのではないか。
辺野古で建設が進む新基地は、北部訓練場やキャンプ・シュワブなど周辺の海兵隊基地と一体的に整備されており、これらの基地群が恒久化されるのは間違いない。
今、本当に問われるべきは何なのか。県民投票の結果を踏まえ、印象操作を排して議論すべき時だ。