(斜面) 内閣法制局の横畠裕介長官 - 信濃毎日新聞(2019年3月10日)

https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190310/KT190309ETI090002000.php
http://archive.today/2019.03.11-065313/https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190310/KT190309ETI090002000.php

参院のサイトが公開している録画を見ると、そのとき口元が心なしか緩んでいるように見える。「思い上がり」などの批判が野党だけでなく与党からも上がって、陳謝に追い込まれた。内閣法制局の横畠裕介長官である

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6日の予算委だ。野党議員が安倍晋三首相の答弁を時間稼ぎだとして、「聞かれたことだけ堂々と答えなさい」と大声を上げた。与党がこれを問題視すると議員は国会の内閣に対する監督機能について質問、横畠氏は「声を荒らげて発言することまで含むとは考えていない」と述べた

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野党が怒るのには伏線がある。長官には政権寄り姿勢が目立つからだ。例えば安保関連法の答弁で「毒キノコだとすれば一部をかじってもあたる。しかしフグなら、全部食べるとあたるが肝を外せば食べられる」。違憲部分は取り除かれている、と

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5年前の長官就任の記者会見では、憲法解釈の変更について「およそ不可能という前提には立っていない。遅れることなく、しっかり研究していきたい」。集団的自衛権行使は憲法に反し許されない、としてきた歴代内閣の憲法解釈変更を目指す政権と息の合ったところを見せていた

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法制局は「憲法の番人」と呼ばれる。厳格な法解釈により、時に政府の解釈改憲に立ちはだかってきた。安倍首相はそこに手を突っ込み、法制局を自分の意のままになる役所に作り替えつつある。野党質問を官僚が鼻先で笑う異様な光景。問われるべきは首相の姿勢である。

(動画)
“法の番人”が国会軽視を?野党反発で紛糾 - 日テレNEWS24(2019年3月6日)
https://kodomo-hou21.hatenablog.com/entry/20190307/1551922701