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安倍晋三政権の強権に直面する沖縄にとって、学問的見地からの心強い味方を得た。
国内の憲法研究者131人が、辺野古新基地建設は違憲だとして反対する声明を発表した。埋め立ての賛否を問う県民投票の結果が出るまで、工事の中止も求めている。
声明は「新基地建設強行は『基本的人権の尊重』『平和主義』『民主主義』『地方自治』という、日本国憲法の重要な原理を侵害、空洞化するものである」「政府が強行し続ければ、日本の立憲民主主義に大きな傷を残すことになる」と指摘している。
これまで県民は、辺野古新基地を争点にした知事選や国政選挙などで新基地反対の民意を何度も示してきた。過去の県民世論調査でも7〜8割が県内移設に反対している。
明確な民意があるにもかかわらず、これを無視する安倍政権は、憲法が保障する平和的生存権を踏みにじり、沖縄の地方自治と民主主義を侵害しており、断じて許されない。
憲法学者らが辺野古新基地問題で声明を出すのは初めてだ。工事が強行される現状を見て、研究者の良心に基づき警鐘を鳴らしたと言えよう。
この声明に対し、菅義偉官房長官は「地元市長や知事の了解を得て閣議決定した。まさに憲法の中の手続きをしっかり取った上で実行している」と反論した。
明らかに間違いだ。1999年に県が受け入れた際は「15年使用期限」「軍民共用空港」という条件付きだった。その後、現行のV字案に変更され、2006年の閣議決定で県の条件は破棄された。
地元の合意を得ようとしない政府の態度は一貫しており、この間、法を逸脱した手続きを繰り返している。
県が埋め立て承認を撤回した後、本来は私人の権利を救済するための行政不服審査制度を使って工事を再開した。行政法研究者110人が「違法行為」「制度の乱用」と厳しく批判した手法だ。
土砂の搬出場所も、県に届け出た本部港が使えなくなったため、変更申請をせずに名護市安和の桟橋に変更し、搬出を強行した。埋め立て用土砂も、県の承認を得ずに赤土などの割合を増やしていた。
菅官房長官が連呼する「法治国家」が聞いてあきれる。一連の行為は法治主義から大きく懸け離れている。沖縄の民意を抑え込むためなら、国家権力は何でもできるとの高圧的な姿勢は、まさに強権国家でしかない。
憲法や行政法の専門家の声を政府は聞き入れるべきだ。
声明は、沖縄県民の人権問題であると同時に、民主主義の観点から「日本国民全体の問題である」とも言及する。
全くその通りだ。辺野古新基地が強行されてしまうと、国家方針に反する地元の声は無視できるというあしき前例になる。全国でも起こり得ることだ。民主主義を守るためにも、国民がわが事として考える契機になってほしい。