<税を追う>辺野古土砂含有率を無断変更 防衛省、回答拒否続ける - 東京新聞(2019年1月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201901/CK2019011802000131.html
https://megalodon.jp/2019-0118-1014-14/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201901/CK2019011802000131.html

沖縄県名護市辺野古(へのこ)の米軍新基地建設で、防衛省が埋め立て用土砂の成分比率を県に無断で変更していた問題などを巡り、十六日に野党の国会議員らによる現地調査が行われた。防衛省沖縄防衛局は「当時の担当者に確認できておらず答えられない」と繰り返すのみ。現地では「赤土が使われている」と疑念が広がる。県側は「埋め立てを強行し、基地の既成事実化を図るのは許せない」と反発を強めている。 (望月衣塑子)
沖縄防衛局は着工前の二〇一三年、県に埋め立て承認を求める文書を提出。土砂に含まれる砂や粘土など「細粒分」の割合を「概(おおむ)ね10%前後」と記していた。
ところが防衛局は一七年十一月、業者から土砂を調達する際、細粒分の割合を40%以下として発注。埋め立て承認の内容に変更がある場合、防衛省は事前に県と協議することになっているが、県に細粒分の変更を知らせていなかった。
岩屋毅防衛相は十三日、記者の質問に「細粒分の含有率は概ね10%前後という記述は、護岸を閉め切る前に埋め立てを実施する場面を想定した。今の作業は海を閉め切って(石を砕く時に出る)岩(がん)ズリを投入している」と反論したものの、変更した理由は説明しなかった。
十六日の現地視察でも防衛局担当者が同じ説明をしたため、野党議員や県の幹部らは反発。県の担当者は「埋め立て承認願書に添付された環境保全図書には『外海を切り離し閉鎖的な水域をつくり』『概ね10%前後の土砂投入』とある。閉め切っているから問題なしという防衛局の主張は初めて聞いた」と批判した。
那覇市での合同ヒアリングでも質問が集中。立憲民主党川内博史議員が「防衛局は県にきちんと説明したのか」と聞くと、防衛局調達部の担当者は「当時の担当者でないので確認できない」と回答。共産党の仁比聡平(にひそうへい)議員は「今日の防衛局の説明や岩屋防衛相が話した論理は、いまになって作り上げたものとしか思えない」と批判した。
埋め立て現場で、実際に土砂を見た議員たちは船上から口々に「あれ、赤土ですよね」と指摘すると、立ち会いの防衛局職員が「一応、岩ズリです」と答え、議員らから失笑が漏れた場面もあった。
赤土は細粒分が多いため粘着力が弱く、埋め立てに多く使うと環境に悪影響を与えるため、沖縄県では、赤土が大量に流出しないよう埋め立て事業者に届け出を義務付ける「沖縄県赤土等流出防止条例」がある。
議員らの「赤土はあるのか」の質問にも防衛局は一切答えず、「細粒分含有率は10%前後です」とだけ言い続けた。県は防衛局に立ち入り調査と検査用の土砂の提供を求めているが、防衛局は「法的根拠を示せ」として応じていない。
謝花喜一郎(じゃはなきいちろう)副知事は「どんなに行政指導しても、それに従わないことが常態化している。わが国は法治国家なのか」と強く批判。県は十八日までに防衛局に回答するよう再度求めている。