(政界地獄耳)守られる官僚に矜持はない - 日刊スポーツ(2019年1月14日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201901140000195.html
http://archive.today/2019.01.14-004645/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201901140000195.html

厚労省が賃金や労働時間などの変動を調べる「毎月勤労統計」で全数調査すべきところを、東京都の分についておよそ3分の1だけを「抽出調査」していたことが発覚した。法律違反だ。霞が関社会保険庁のずさん管理体制が発覚しても学ばず、財務省などで公文書の書き換えが公然と行われてもさして重大な問題という認識を示さなかった。つまり天下の霞が関の中央官僚の劣化は政治家のそれとは格段に低下しているということだ。劣化を通り越して詐欺ではないかとの声もある。政治家は糾弾され社会的制裁も受けるし、選挙という厳しい審判もある。だが、中央官僚はすべてにおいて守られている。

★それでいて、霞が関の互助システムは不祥事で退職した局長クラスをすぐさま別の部署で再雇用するなど手厚い。劣化していても守られていると思わざるを得ない。なぜなら内部で自浄作用が働いたなど聞いたことがないからだ。加えて厚労省の担当部署には不適切な手法を容認する「マニュアル」が存在していた。もう組織ぐるみか否かの議論をする必要もない。「アベノミクスが効果的に成功している粉飾」(野党幹部)ということだろう。

★政治の目標に数字を合わせていけば政権の都合のいい数字になっていくのは当然。つまり目標達成、アベノミクス成功ということになる。これで我が国は国の統計は信用できない、公文書は改ざんしていると近代民主国家の体裁すら持ちえない、いかがわしい独裁政治体制の国家と世界に知らしめたようなものだ。官僚も政治家も恥ずかしくはないのだろうか。いや政治家への忖度(そんたく)でやったとしても官僚の矜持(きょうじ)はないということになる。他国からみっともない国家と指摘されても反論の余地もない。(K)※敬称略